「エラが張っていて顔が大きく見える」「すっきりしたフェイスラインにしたい」という方に選ばれている施術の一つが、エラボトックス(咬筋ボトックス)です。
エラボトックスは、エラの部分にある「咬筋(こうきん)」にボツリヌストキシン製剤を注射し筋肉の過剰な働きを抑えることで、咬筋の発達によるエラ張りを目立ちにくくする施術です。切開を必要としないため、外科的な小顔治療に抵抗がある方にも検討される一方、すべての「エラ張り」に効果があるわけではありません。
この記事では、エラボトックスの仕組みや効果、適応となる方、効果が出るまでの期間、持続期間、注意点やリスクについて詳しく解説します。
この記事のポイント
- エラボトックスの効果がわかる
- エラボトックスが向いている人がわかる
- エラボトックスのリスクや注意点がわかる
エラボトックスとは?

エラボトックスとは、咬筋にボツリヌストキシン製剤を注射することで、咬筋の収縮を抑制する施術です。
咬筋は、頬の外側から下顎の角付近にかけて存在する筋肉で、食べ物を噛む際に重要な役割を担っています。歯を食いしばったときに、エラの部分が盛り上がるように硬くなる場合、この部分には咬筋が大きく発達している可能性があります。
ボトックス(ボツリヌストキシン)について
「ボトックス」という名称は、本来は商品名である「ボトックスビスタ」のことを指しますが、一般名称としてボツリヌストキシン製剤全般を「ボトックス」と呼称する場合もあります。
ボツリヌストキシンは、神経から筋肉への信号伝達に関わるアセチルコリンの放出を抑えることで、筋肉の収縮を弱めます。咬筋に作用させることで、過剰な筋活動を抑え、時間の経過とともに筋肉の厚みが減少することが期待されます。
エラ張りの原因
エラボトックスを検討する際に重要なのが、エラ張りの原因を見極めることです。顔の輪郭が横に広く見える原因には、主に以下のようなものがあります。
・咬筋の発達
・下顎骨などの骨格
・顔の脂肪
・頬やフェイスラインのたるみ
・むくみ
・複数の要因が組み合わさっている場合
このうちエラボトックスによる改善が期待できるのは、主に咬筋の発達によってエラが張って見えるケースです。例えば、歯を食いしばったときにエラの部分が大きく盛り上がる場合は、咬筋が発達している可能性があります。
一方、骨格そのものが大きく張っている場合には、咬筋を小さくしてもフェイスラインの変化が限定的になることがあります。そのため施術前には咬筋の状態だけでなく、骨格や脂肪、たるみなども含めて診察することが重要です。
エラボトックスで期待できる効果

実はエラボトックスに期待できる効果は「エラ張り解消」だけではありません。どのような効果が得られるのかを具体的に紹介します。
エラ張りの改善
エラボトックスの代表的な効果です。咬筋の過剰な収縮を抑えることで、時間の経過とともに咬筋のボリュームが減少し、フェイスラインがすっきりすることが期待できます。
咬筋の張りが原因で正面から見た時にホームベース型の顔立ちをしているケースでは、卵型の顔立ちに近づくことで「顔の印象が柔らかくなった」と喜ばれる患者様もいらっしゃいます。
小顔に見せる
筋肉の発達によって下顔面が横に広く見えている方は、エラボトックスによって輪郭の印象が大きく変化するケースもあります。シャープな顔立ちになることで「小顔になった」と感じられるでしょう。
ただしエラボトックスは脂肪を直接減らしたり、骨を小さくしたりする治療ではありません。そのため「顔全体が小さくなる」というよりも、咬筋の発達によって張って見える部分をすっきりさせる施術と考えてください。
食いしばりや歯ぎしりの抑制
エラボトックスは咬筋の過剰な収縮を抑える作用から、食いしばりや歯ぎしりに伴う歯の負担軽減を目的に使用されることもあります。
咬筋はものを噛む働きを担う咀嚼筋のひとつであり、過度に収縮することで食いしばりや歯ぎしりが状態化することで、歯の摩耗や破折、顎関節周辺の症状などにつながることもあるのです。
ただし、美容目的のエラボトックスと、顎関節症などの治療目的で行うボツリヌストキシン治療では、目的や評価方法が異なります。症状が強い場合には、歯科・口腔外科などで原因を確認することも大切です。
エラボトックスが向いている人
次のような方は、エラボトックスを検討してみても良いでしょう。
・咬筋の発達によってエラが張って見える
・食いしばるとエラの筋肉が大きく盛り上がる
・下顔面の横幅をすっきりさせたい
・切開を伴う小顔治療には抵抗がある
・ダウンタイムの比較的少ない治療を希望している
・自然な変化を目指したい
ただし、実際に適応となるかは、咬筋の大きさや筋活動、骨格、脂肪、皮膚の状態などを診察したうえで判断する必要があります。
エラボトックスの施術について

エラボトックスが初めての方にとって、効果面だけではなく、施術時の痛みや効果の現れ方、ダウンタイムなども気になりますよね。ここからは恵比寿アズクリニックにおけるエラボトックス施術の流れや、施術後の経過について解説します。
恵比寿アズクリニックのエラボトックス
当院のボトックス注射では、顔~首エリアの施術においては基本的に全てアラガン社のボトックスビスタを使用します。施術の流れはクリニックにより異なりますが、当院では次のような流れで行います。
※ボトックスビスタは日本国内で承認されているA型ボツリヌス毒素製剤で、2026年8月の承認変更により、65歳未満の成人における「咬筋膨隆」への使用も承認されています。
①診察・カウンセリング
咬筋の状態をチェックし、ボトックス注射の適応があるかを診断します。適応ありと診断された場合は、必要な薬剤量や金額、ダウンタイム、リスク等の詳細な説明を行い、内容にご納得いただけたら施術に移ります。
②マーキング
施術する部分に目印をつけ施術スタートです。
なお当院の場合、咬筋へのボトックス注射には基本的に麻酔は使用しません。痛みに弱い方、ご不安な方は事前にご相談ください。
③注射
注射器でボトックス製剤を注入していきます。
痛みや内出血を最小限に留めるため、当院ではできるだけ細い注射針を使用し、手早く施術を進めるよう心がけております。ただし、それでも注射針が刺さった時のチクチクとした刺激や、薬剤が注入されたときの滲みるような痛みを感じることがあります。
④施術終了
注入が完了したら、必要に応じて止血や冷却などの処置を行い施術終了となります。施術直後は赤みや熱感が出る場合がありますが、軽度であれば当日中に解消ことが多いです。
施術時間は組み合わせや施術範囲などによって異なりますが、エラのみの場合は基本的に10分ほどで注入が完了します。
なお当院では、施術日の約2週間後に必ず再診に来ていただいております。効果の現れ方や違和感の有無などを確認し、必要に応じてボトックスの追加を行うこともあります。
エラボトックスのダウンタイム
エラボトックスのダウンタイムとして起こり得るのが内出血です。程度により数日~10日ほど目立つことがあるため、大切な予定を控えているタイミングでの施術は避けるのが無難でしょう。
ただし内出血が出たとしても、医師の判断により問題がなければ当日からメイクで隠すことができます。
また赤みや腫れなどが生じることもあります。多くは一時的なものですが、程度や持続期間には個人差があります。
体温を高めるような行動(湯船につかっての入浴、激しい運動、過度な飲酒、サウナなど)は、施術後の赤みや腫れを助長する場合があるため、当院では施術後数日はこういった行為を控えるようご案内しています。クリニックにより方針が異なる場合もあるため、必ず施術を受けたクリニックの指示に従い、安静に過ごすようにしましょう。
また施術部への強いマッサージや圧迫も施術後のトラブルにつながる可能性があるため、当院ではセルフマッサージのほかエステなども2週間ほど控えるようご案内しております。
エラボトックスの効果はいつから現れる?
エラボトックスは、注射した直後に咬筋が小さくなるわけではありません。ボツリヌストキシンによって咬筋の収縮が抑えられ、その後徐々に筋肉のボリュームが減少していくため、効果は時間をかけて現れるのが特徴です。
一般的には、施術後数日~数週間程度で筋肉の働きが弱くなり始め、その後徐々にフェイスラインの変化を実感するようになります。
また効果の現れ方には個人差があり、咬筋の大きさや筋力、注射量、注射部位、左右差などによっても変わってきます。施術後すぐに変化がないからといって「失敗した」と焦らず様子を見つつ、必要に応じて担当医に相談すると良いでしょう。
エラボトックスの効果はどのくらい続く?
ボツリヌストキシンによる筋肉の作用は永久に続くものではありません。時間の経過とともに神経と筋肉の機能が回復するため、咬筋の働きも徐々に戻っていきます。そのため、エラボトックスの効果も徐々に弱くなります。
持続期間には個人差がありますが、一般的には数か月程度が目安とされています。当院の患者様には「3~4ヶ月程度の持ち」とご案内しておりますが、効果が切れるタイミングには個人差があるため「必ず○か月で元に戻る」と一律に考えることはできません。
繰り返し施術を行う場合も、前回の効果や筋肉の状態を確認したうえで、適切なタイミングを判断することが重要です。
エラボトックスのリスク・副作用

エラボトックスは比較的低侵襲な治療ですが、副作用や合併症が起こる可能性があります。代表的なものを解説します。
噛みにくさ・咀嚼力の低下
咬筋の働きを抑える治療であるため、効果が強く出た場合には、硬いものを噛みにくい、噛むと疲れやすいなどの変化を感じることがあります。特に投与量や注射部位が適切でない場合には、過度に咬筋の働きが弱くなる可能性があります。
左右差
左右の筋肉の大きさや筋活動にはもともと差があるため、施術後に左右差が目立つ場合があります。またボツリヌストキシンの作用が左右で異なることによって、一時的に左右非対称に見えることもあります。
頬がコケて見える
咬筋のボリュームが減少することで、頬がコケたように見える場合があります。もともと頬の脂肪が少ない方や頬骨の突出が強い方は特に注意しましょう。
「エラを小さくすること」だけを重視するのではなく、顔全体のバランスを考えて治療量を決めることが重要です。
フェイスラインのたるみ
咬筋のボリュームが減少すると、その上に重なる脂肪や皮膚が緩み「たるみ」につながるリスクもあります。もともとたるみが見られる方や年配の方への施術は慎重に判断する必要があるでしょう。
また当院の場合、ハイフ等のたるみ治療の併用をご提案する場合もあります。
表情への影響
注射したボツリヌストキシンが意図した部位以外に作用すると、周辺の筋肉の動きに影響する可能性があります。その結果、一時的に笑ったときの口元の左右差などが生じる場合があります。
パラドキシカルバルジング
パラドキシカルバルジングは、ボツリヌストキシン注射後に咬筋の一部が収縮して、不自然な膨らみが目立つ現象です。自然に改善する場合もありますが、改善までの期間には個人差があり、場合によってはボトックスの追加注入などの処置が必要になるケースもあります。
当院ではボトックスの施術から2週間ほどのタイミングで必ず再診に来ていただいており、リタッチ(追加注入)が必要な場合には追加料金なしで施術が可能となります。
エラボトックスを受ける際の注意点
ここまで紹介したリスクを踏まえ、エラボトックスを受ける際に気をつけるべきポイントをまとめます。施術を検討している方は覚えておきましょう。
過度な投与は避ける
「たくさん打てば打つほど小顔になる」というわけではありません。咬筋を過度に弱めると、噛みにくさや頬コケ、輪郭の不自然さなどにつながる可能性があります。重要なのは、咬筋の大きさや筋活動、顔全体のバランスを考慮して適切な量を設定することです。
また施術の頻度にも注意が必要です。数ヶ月ごとのコンスタントな施術が効果的なケースもありますが、咬筋の状態や骨格、たるみの状態などに応じて、柔軟に施術計画を組むことが求められます。
医師の解剖学的知識が重要
咬筋周辺には、表情筋や神経・血管などさまざまな組織があります。そのため、咬筋の位置や厚みだけでなく、周囲の解剖学的構造を熟知した医師を選ぶことが大切です。
特に注射位置や深さが適切でない場合には、意図しない筋肉へ作用する可能性があります。気になることは診察時に何でも質問し、疑問の残らない状態で施術を受けるようにしましょう。
エラボトックスに向かないケースもある
エラ張りの主な原因が咬筋ではない場合、エラボトックスだけでは十分な効果が期待できないことがあります。例えば次のようなケースです。
・下顎骨の形が主な原因
・脂肪によって顔が大きく見えている
・皮膚や皮下組織のたるみが主な原因
・頬のボリュームが少なく、これ以上筋肉を減らすとコケて見える
このような場合には、エラボトックス以外の治療や、複数の治療を組み合わせる方法が適している可能性もあります。「エラが気になるからエラボトックス」という単純な判断ではなく、エラ張りの原因をきちんと診断してもらい、適切な提案をしてくれるクリニックで施術を受けられると安心ですね。
妊娠・授乳中などは施術前に相談を
ボツリヌストキシン製剤は、妊娠中の安全性が確立されていません。
中でも当院で採用しているボトックスビスタについては、添付文書上、妊婦・妊娠している可能性のある女性・授乳婦への投与は禁忌とされており、女性の場合、最終投与から2回の月経を経るまでは避妊が推奨されます。男性の場合も最終投与から少なくとも3ヶ月間は避妊が必要です。
また妊娠中・授乳中の方以外にも、筋肉の病気がある方、特定の薬剤を使用している方などは、施術前に必ず医師へ相談しましょう。
エラボトックスについてよくある質問
エラボトックスを打つとすぐに小顔になりますか?
いいえ。施術直後から咬筋が小さくなるわけではありません。
ボツリヌストキシンによって筋肉の収縮が抑えられ、その後徐々に咬筋のボリュームが減少することで、時間をかけてフェイスラインの変化が現れます。
一度受ければ効果は永久に続きますか?
永久的な効果ではありません。
時間の経過とともに神経と筋肉の働きが回復するため、効果も徐々に弱くなります。
エラの骨が小さくなりますか?
いいえ。
エラボトックスが作用するのは主に咬筋です。下顎骨そのものを小さくする治療ではありません。
誰でもエラボトックスで小顔になりますか?
いいえ。
咬筋の発達がエラ張りの主な原因である場合に効果が期待できます。骨格や脂肪、たるみなどが主な原因の場合には、十分な変化が得られないことがあります。
エラボトックスで頬がコケることはありますか?
可能性があります。
咬筋のボリュームが減ることで、もともと頬のボリュームが少ない方や皮膚のたるみがある方では、頬がコケたように見える場合があります。そのため、単純に「できるだけエラを小さくする」のではなく、顔全体のバランスを考慮して治療することが重要です。
まとめ
エラボトックスは、咬筋の発達によるエラ張りを改善し、フェイスラインをすっきり見せることが期待できる治療です。
一方で、エラ張りの原因は咬筋だけとは限りません。「エラが張っている=咬筋ボトックスが適している」とは限らないため、骨格・脂肪・たるみなどを含めて原因を見極めることが大切です。
エラボトックスを検討する際は、期待できる効果だけでなく、リスクや注意点についても十分な説明を受けたうえで、自分の顔立ちに適した治療かどうかを医師とよく相談しましょう。
