トラネキサム酸の効果とは?シミ・肝斑への効果や注意点を解説

「トラネキサム酸にはどんな効果がある?」「トラネキサム酸はシミや肝斑に効く?」「内服と化粧品では効果が違う?」
美容や美肌治療に関心がある方のなかには、このような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
トラネキサム酸は、もともと出血を抑える目的で使用されてきた医薬品成分ですが、近年では肝斑などの色素沈着に対する治療成分としても注目されています。特に肝斑に対しては、内服薬や外用剤、医療機関での導入治療など、さまざまな方法が研究されています。複数の臨床研究をまとめたメタ解析でも、トラネキサム酸によって肝斑の重症度が改善する可能性が示されています。
この記事では、トラネキサム酸の効果や作用の仕組み、内服薬と化粧品の違い、使用時の注意点について、美容皮膚科の観点から詳しく解説します。

この記事のポイント

  • トラネキサム酸の肝斑・色素沈着への効果がわかる
  • トラネキサム酸内服薬と外用剤・化粧品の効果の違いがわかる
  • トラネキサム酸の効果を正しく発揮するためのポイントがわかる
目次

トラネキサム酸の効果とは?

トラネキサム酸は本来、医療現場では出血を抑える目的で使用されてきました。一方、皮膚科・美容皮膚科領域では特に肝斑をはじめとする色素沈着の改善を目的として使用されます。まずはそんなトラネキサム酸の効果について見ていきましょう。

肝斑の改善

トラネキサム酸が美容皮膚科で注目されている大きな理由の一つが、肝斑への効果です。
肝斑は、頬や額、口周りなどに左右対称に現れやすい淡褐色~褐色の色素斑です。紫外線だけでなく、女性ホルモンや摩擦など複数の要因が関係していると考えられています。

トラネキサム酸については、内服・外用などさまざまな投与方法が研究されており、複数のランダム化比較試験をまとめたメタ解析でも、肝斑の重症度を示すMASIやmMASIの改善が報告されています。特に内服療法では、外用療法よりも改善効果が大きい傾向を示した研究があります。ただし、研究によって対象者や治療方法、併用治療などが異なるため、すべての方に同じ効果が得られるとは限りません。

色素沈着・くすみの改善

トラネキサム酸は、プラスミンを介したメラノサイトの活性化を抑えることで、色素沈着の改善に寄与する可能性があります。そのため、肝斑以外にも、紫外線などによる色素沈着に対する外用成分として研究されています。
ただし「トラネキサム酸を使えばすべてのシミが消える」というわけではありません。シミには、老人性色素斑・肝斑・炎症後色素沈着・そばかすなどさまざまな種類があります。原因や病態によって適した治療は異なるため、まずシミの種類を見極めることが重要です。

トラネキサム酸が肝斑に効果を発揮する仕組み

トラネキサム酸の効果の中でも、美容皮膚科領域では特に肝斑改善を目的に活用することが多いです。少し専門的な話になりますが、トラネキサム酸が肝斑に対してどのように作用するのかを紹介します。

肝斑を抑制するメカニズム

トラネキサム酸の肝斑への作用には、プラスミンを介したメラノサイトの活性化を抑える働きが関係すると考えられています。
紫外線などの刺激を受けると、皮膚ではさまざまな炎症・細胞間シグナルが生じます。その一つとして、タンパク質分解酵素であるプラスミン関連の経路がメラノサイトの活性化に関係すると考えられており、トラネキサム酸がこの経路を抑制することでメラニン産生が抑えられる可能性があります。
また肝斑のある皮膚には色素だけでなく、血管増生や炎症に関連する変化もみられることがあります。トラネキサム酸によって、こうした肝斑に伴う皮膚環境が改善する可能性を示した研究もあります。

肝斑治療におけるトラネキサム酸内服薬の位置づけ

肝斑に対するトラネキサム酸内服薬の効果については、国内外で臨床研究が行われています。
一方、日本の医療用医薬品では肝斑は添付文書上の効能・効果として記載されていないため、使用にあたっては医師が患者さんの状態やリスクを確認して判断することが重要です。

他の美白成分との違い

美肌治療では、トラネキサム酸以外にもさまざまな成分が使用されています。
例えばハイドロキノンは、メラニン生成に関わるチロシナーゼを阻害する代表的な外用成分です。またビタミンCは、ハイドロキノンと同じくチロシナーゼを阻害する作用があるほか、メラニン還元作用でも知られる成分で、内服薬から化粧品まで幅広く活用されています。
一方、トラネキサム酸はプラスミン関連経路など、異なるメカニズムからメラノサイトの活性化を抑えると考えられています。そのため作用機序の異なる治療を組み合わせることで、より効果的な肝斑治療を目指せる場合があります。
ただし、治療を組み合わせれば必ず効果が高くなるとは限らないため、肌状態やシミの種類を診察したうえで治療方法を選択することが大切です。

内服薬or化粧品?トラネキサム酸の効果の違い

トラネキサム酸を美肌目的で使用する場合、主に「内服」と「外用」があります。それぞれ作用する範囲や期待できる効果が異なるため、ご自身の目的や体質に合ったものを選ぶことが大切です。

トラネキサム酸の投与方法による違い

トラネキサム酸の内服薬と、化粧品などの外用剤との主な違いを表にまとめました。

トラネキサム酸内服薬 トラネキサム酸を含む
外用剤・化粧品
使用方法 医師の診察・判断のもと服用 肌に塗布
作用 全身で作用 塗布した部位を中心に作用
肝斑への研究 比較的多い 研究あり
効果の強さ 外用より大きい傾向 内服よりマイルドな傾向
全身性の副作用 注意が必要 比較的少ない
手軽さ 医師による判断が必要 日常のスキンケアに取り入れやすい

肝斑を対象とした研究では、トラネキサム酸の内服薬が外用より大きな改善が示された解析があります。ただし投与方法や併用治療、研究条件によって結果が異なるため、内服が常に概要より優れているとは限りません。

トラネキサム酸の内服

内服薬は、トラネキサム酸を体内に取り込むことで全身的に作用させます。
肝斑に対する臨床研究では、一定期間の内服によって色素沈着の改善が認められています。肝斑を対象とした臨床研究では、比較的低用量の内服でも8~12週間程度の治療期間で改善を評価した報告があります。※効果の現れ方には個人差があります。
一方で、トラネキサム酸は本来、止血目的に使用される医薬品です。そのため、美容目的で内服する場合には、効果だけでなく血栓症などのリスクについても考慮する必要があります。

トラネキサム酸配合の化粧品・外用剤

外用では、トラネキサム酸を肌に直接塗布します。内服に比べて全身への影響が少ないため、日常的なスキンケアの一環として取り入れやすいことがメリットです。
ただし内服と同等の効果が得られるとは限らず、一般的には内服より穏やかな作用と考えられています。

トラネキサム酸はどのくらいで効果が出る?

トラネキサム酸の効果が現れるまでの期間には個人差があります。
肝斑を対象とした研究では、8~12週間程度の治療期間で改善を評価しているものが多く、早い方では数週間程度から変化がみられることがあります。

ただし肝斑は慢性的で再発しやすい疾患です。そのため短期間で一気に改善させるというよりも、紫外線対策や外用治療などを組み合わせながら、肌状態を長期的に管理していくことが重要です。

トラネキサム酸で美肌効果を狙うメリット

トラネキサム酸を美肌治療に取り入れるメリットとして、主に以下が挙げられます。

肝斑に対するエビデンスがある

トラネキサム酸は単なる美容成分としてではなく、肝斑に対する治療法として多くの臨床研究が行われています。複数の研究をまとめたメタ解析でも、内服・外用・局所投与などの方法で肝斑の改善が示されています。

他の治療と組み合わせやすい

トラネキサム酸は、単独で使用するだけでなく、紫外線対策や外用治療などと組み合わせて使用されることがあります。
特に肝斑では、紫外線や摩擦などの刺激を避けることも重要です。そのためトラネキサム酸だけに頼るのではなく、日焼け止めや美白外用剤などを組み合わせて総合的に治療することが大切です。

外用なら全身への影響を抑えやすい

トラネキサム酸配合の外用剤は、内服と比較すると全身性の副作用を考慮する必要が少なく、比較的取り入れやすい治療方法です。
また一部の比較研究では、外用トラネキサム酸はハイドロキノンなどと比較して皮膚刺激が少なかったとの報告もあります。

トラネキサム酸をおすすめできる人

以下のような方は、トラネキサム酸の活用を検討してみても良いでしょう。

・肝斑による色素沈着が気になる
・美白治療を受けたい
・ハイドロキノンなどの外用治療だけでは十分な改善が得られない
・肝斑の再発を繰り返している
・レーザー治療だけでは改善が難しい色素沈着がある

ただしシミにはさまざまな種類があるため「シミがある=トラネキサム酸」というわけではありません。特に肝斑と老人性色素斑では治療方針が異なる場合があるため、まず皮膚科医による診断を受けることが重要です。

トラネキサム酸を使用するときの注意点

トラネキサム酸は比較的安全性の高い薬剤とされていますが、特に内服する場合には注意が必要です。ここからは内服薬をメインに、トラネキサム酸の注意点についてまとめます。トラネキサム酸の使用を検討している人は必ず覚えておきましょう。

血栓症のリスクに注意する

トラネキサム酸はもともと止血剤に使われてきた経緯のある成分です。内服する場合には血栓症のリスクを慎重に確認しましょう。
実際の臨床研究では、肝斑治療におけるトラネキサム酸内服で血栓塞栓症が多く発生することを示す明確な結果は得られていないものの、既往歴や血栓症のリスク因子を確認したうえで使用することが推奨されています。特に血栓症の既往がある方や血栓症のリスクが高い方は、自己判断で内服せず、必ず医師に相談しましょう。

ピルなどを服用している場合は医師に相談する

経口避妊薬(ピル)など、血栓症のリスクに関係する薬剤を常用している場合は、現在の服薬状況や血栓症のリスクを含めて医師に相談しましょう。
もちろん、ピルの他に服用している薬がある場合にも、診察時に必ず医師へ伝えてください。

胃腸症状などが起こることがある

内服によって、胃部不快感や吐き気などの消化器症状がみられることがあります。また月経周期や月経量の変化などが報告されている研究もあります。

外用では肌への刺激が起こることがある

トラネキサム酸配合の化粧品などでも、赤みや刺激感などが起こる可能性があります。肌が敏感な方は、少量から使用するなど、肌の状態を確認しながら取り入れることが大切です。

トラネキサム酸だけでシミが完全に消えるわけではない

トラネキサム酸は、肝斑などの色素沈着に対して有効性が期待できる治療ですが、すべてのシミに効果があるわけではありません。また肝斑は再発しやすいため、治療後も紫外線対策や適切なスキンケアを続ける必要があります。

トラネキサム酸の効果を高めるために大切なこと

トラネキサム酸による治療を行う場合でも、日常生活でのケアが重要です。「内服薬を飲んでいるから」と安心せず、毎日のスキンケアを丁寧に行い、必要に応じて美容医療の力も借りながら、理想の美肌を目指していきましょう。

紫外線対策を徹底する

紫外線はメラニン生成を促す大きな要因です。
特に見逃しがちなのが、季節や天候により「日差しが弱い」と感じられる日の紫外線対策。紫外線は季節や天候問わず地表に届くものですので、毎日欠かさず対策することが大切です。
日焼け止めを毎日使用し、屋外では帽子や日傘なども活用しましょう。

肌をこすらない

洗顔やクレンジング、マッサージなどによる過度な摩擦は、肝斑の悪化要因になる可能性があります。洗顔時には肌を強くこすらず、スキンケアも優しく行いましょう。
日焼け止めを塗るときも擦り付けるように塗り拡げるのではなく、ハンドプレスでやさしくなじませるのがポイントです。

肌に合った治療を継続する

肝斑は慢性的で再発しやすいため、短期間で結果を求めすぎないことも大切です。トラネキサム酸だけでなく、外用薬やレーザー・光治療などを含め、肌状態に応じて治療を組み合わせることがあります。
恵比寿アズクリニックでは、肝斑にお悩みの患者様に次のような治療をご提案することがあります。

・ピコトーニング
・リバースピール
・ピンクグロー注射

またエレクトロポレーションやターゲットクールを活用したトラネキサム酸導入をお勧めすることもございます。肝斑の状態や肌質、痛み・ダウンタイムをどれだけ許容できるかといったさまざまな面を考慮してご提案いたしますので、お悩みの方はぜひご相談ください。

トラネキサム酸に関するよくある質問

トラネキサム酸は肝斑以外のシミにも効果がありますか?

トラネキサム酸は、特に肝斑に対する研究が多い成分です。老人性色素斑やそばかすなど、別の種類のシミでは治療方法が異なることがあります。
シミの種類を自己判断せず、皮膚科で診断を受けることをおすすめします。

トラネキサム酸の内服と化粧品はどちらが効果的ですか?

研究結果を比較すると、肝斑に対しては内服のほうが外用より大きな改善効果を示す傾向があります。
一方、内服は全身への作用があるため、血栓症などのリスクを考慮する必要があります。そのため「効果が強いほうを選ぶ」のではなく、安全性も含めて医師と相談して治療方法を決めることが重要です。

トラネキサム酸は毎日使っても大丈夫ですか?

外用の化粧品については製品ごとの使用方法に従ってください。
一方、医療機関で処方される内服薬については、自己判断で長期間服用するのではなく、医師の指示に従うことが大切です。肝斑に対する内服療法では、一定期間の治療後に効果や副作用を確認し、継続の必要性を判断します。

トラネキサム酸を飲めば美白になれますか?

トラネキサム酸は、肝斑などの色素沈着を改善する目的で使用されますが、飲むだけで肌全体が白くなる薬ではありません。また、すべての種類のシミに効果があるわけではありません。
肌の色ムラを改善するためには、紫外線対策や適切なスキンケア、必要に応じた外用・光治療などを組み合わせることが重要です。

まとめ

トラネキサム酸は、もともと止血目的で使用されてきた医薬品ですが、現在では肝斑などの色素沈着に対する治療成分としても研究されています。特に肝斑では、内服・外用などさまざまな方法で研究が行われており、複数の臨床研究をまとめた解析でも改善効果が報告されています。
一方で、内服の場合には血栓症などのリスクを考慮する必要があります。そのため、美容目的だからといって自己判断で内服するのではなく、医師による診察のもとで適応を判断することが重要です。
またトラネキサム酸だけですべてのシミが改善するわけではありません。シミや肝斑の治療では、まず症状の種類や原因を見極め、トラネキサム酸の内服・外用、ハイドロキノンなどの外用薬、レーザー・光治療などから、一人ひとりの肌状態に適した方法を選択することが大切です。
「肝斑なのか普通のシミなのか分からない」「トラネキサム酸を内服してもよいか知りたい」という方は、自己判断せず美容皮膚科などの医療機関に相談しましょう。

※記事内でご紹介している各商品は記事執筆時の情報に基づいて掲載をしており、変更となっている可能性がございます。ご購入の際は最新情報をお確かめください。

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監修医師紹介

奥野彰子/医師

奥野 彰子 / Akiko Okuno

医師・恵比寿アズクリニック院長

  • 東京慈恵会医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院にて形成外科に入局。
  • 2008年より美容皮膚科 院長を15年勤める。
  • 2023年5月 恵比寿アズクリニック院長に就任。

監修医師詳細プロフィール

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