骨吸収とは?加齢による顔の骨格変化と美容への影響・予防法・美容医療を解説

年齢を重ねると「頬がコケてきた」「目の下がくぼんできた」「ほうれい線が目立つようになった」「フェイスラインが変わってきた」など、顔立ちの変化を感じることがあります。こうした加齢による変化には、肌のハリ低下や脂肪の減少だけでなく、顔の骨格の変化も関係していることをご存知でしょうか。
骨は一生変化しない組織ではなく、古い骨が吸収され、新しい骨が形成される「骨リモデリング」を繰り返しています。加齢に伴ってこのバランスが変化すると、顔立ちにもさまざまな変化が起こる場合があるのです。
この記事では、骨吸収とは何か、加齢によって顔にどのような影響が出るのか、そして骨吸収を原因とする「老け見え」の対策について詳しく解説します。

この記事のポイント

  • 骨吸収とはどのような現象なのかがわかる
  • 骨吸収による美容面への影響がわかる
  • 骨吸収を原因とする「たるみ」改善に役立つ美容医療がわかる
 

目次

骨吸収とは?

骨吸収とは、簡単にいうと骨を壊して体内に取り込む過程のことです。まずはこの骨吸収とはどのような現象なのかを見ていきましょう。

骨吸収のしくみ

骨では「骨吸収」と「骨形成」が常に繰り返されています。

・骨吸収:古くなった骨を分解・吸収する
・骨形成:新しい骨を作る

健康な状態では、この2つのバランスが保たれています。
しかし、加齢やホルモンの変化などによって骨吸収が骨形成を上回るようになると、骨量が減少していきます。特に女性は、閉経後に女性ホルモンの一種であるエストロゲンが減少することで、骨量が低下しやすくなります。エストロゲンは骨を吸収するスピードを抑える働きがあるため、閉経後に起きるホルモンバランスの急激な変化は、骨粗鬆症のリスクを高める要因の一つと言われているのです。

「骨吸収」と「骨粗鬆症」は同じ?

骨吸収そのものは正常な骨代謝の一部であり、骨吸収が起こること自体が病気というわけではありません。
一方、骨粗鬆症は骨強度が低下し骨折しやすくなった状態を指す疾患です。骨吸収と骨形成のバランスが崩れて骨量が減少すると、骨がもろくなり、骨粗鬆症につながることがあります。
また、顔の骨格に起こる加齢変化と、全身の骨粗鬆症は必ずしも同じものではありません。骨粗鬆症がなくても、加齢に伴って顔面骨の形態が変化することはあるのです。

加齢によって顔の骨も変化する

従来は“顔の老化”というと「皮膚がたるむ」「脂肪が減る・移動する」といった軟部組織の変化が中心に考えられてきました。しかし現在では、顔の骨格も加齢に伴って変化することが分かっています。
顔面骨では、すべての場所が均一に小さくなるわけではありません。部位によって骨吸収や骨の形態変化の程度が異なり、結果として顔全体の立体感や輪郭が変化します。代表的な変化として、以下が挙げられます。

・眼窩が広がる
・上顎骨や中顔面が後退する
・鼻の付け根(梨状口)が広がる
・下顎の形態が変化する

こうした骨格変化に、皮膚・脂肪・筋肉・靭帯などの加齢変化が重なることで、いわゆる「老け見え」につながってくるのです。

骨吸収が優位になると顔にどんな変化が起こる?

ここからは、骨吸収によって美容面にどのような影響が出てくるのかを具体的に紹介します。

目の周りがくぼんで見える

加齢に伴って眼窩周囲の骨格が変化すると、目の周囲の土台となる構造にも変化が生じます。眼窩周辺に骨吸収が起きることによって、目の下のくぼみや、目の周囲の影が目立ちやすくなることがあるのです。
ただし、目の下のくぼみは骨だけが原因ではありません。

・眼窩周囲の骨格変化
・皮下脂肪・深部脂肪の変化
・皮膚の弾力低下
・靭帯、SMAS筋膜など支持組織の変化

こうした複数の要因が関係しています。そのため「目の下のくぼみ=骨吸収」と単純に考えることはできません。あくまで要因のひとつと捉えましょう。

頬の立体感が失われる

上顎骨や中顔面の骨格変化は、頬周辺の立体感にも影響します。
顔の骨格は、皮膚や皮下脂肪などの軟部組織を支える土台です。その土台の形状が変化すると、その上にある組織の位置関係も変わり、頬の高さや中顔面のボリューム感が減ることで、のっぺりとした顔立ちに見えることがあるのです。
ただし、加齢による顔の変化には脂肪組織の減少や移動も関係するため、骨格だけでは説明できない場合もあります。

ほうれい線や口元のシワが目立ちやすくなる

加齢によるほうれい線や口元のシワには、皮膚の弾力低下や脂肪の変化、靭帯・筋肉の変化など、さまざまな要因が関係します。そこに中顔面の骨格変化が加わると、軟部組織を支える構造が変化し、シワや溝がより目立って見えることがあります。
つまり、ほうれい線は「皮膚だけの問題」ではなく、骨・脂肪・筋肉・靭帯・皮膚が複合的に変化した結果として現れるものと言えるでしょう。

フェイスラインが変化する

下顎も加齢に伴って形態が変化する部位の一つです。特に下顎の前方から頬側にかけての骨格変化は、口元から顎にかけての輪郭に影響することがあります。さらに…

・皮下脂肪の変化
・靭帯(リガメントの変化)
・SMAS筋膜の緩み
・筋肉の変化
・皮膚の弾力低下

これらの要素が組み合わさることで、フェイスラインのもたつきやたるみにつながります。

骨吸収が起こる要因

骨吸収には、さまざまな要因が関係しています。具体的に紹介しましょう。

加齢

年齢とともに骨形成と骨吸収のバランスが変化し、骨量が減少しやすくなります。これは誰にでも起こりうる自然な現象であり、日常生活の中で対策を講じても、完全に止めることは難しいのが実情です。
また顔面骨の加齢変化は、単純に「顔全体の骨量が均一に減少する」というものではありません。部位によって骨吸収の程度や方向が異なり、骨の形状そのものにも変化が生じると考えられています。

女性ホルモンの減少

特に女性では、閉経後にエストロゲンが減少することで骨量が減少しやすくなります。
日本整形外科学会も、骨粗鬆症は女性、特に閉経後の女性に多く、女性ホルモンの減少や加齢との関係が深いとしています。

運動不足

骨は、歩く・立つ・運動するといった日常の動作によって適度な刺激を受けています。この刺激が骨の健康維持につながるため、無理のない範囲で運動を習慣にすることが大切です。
逆に運動不足が続くと骨量が維持しにくくなる可能性があります。

栄養不足

カルシウムやビタミンD、タンパク質などの不足も、骨の健康維持に影響します。特に極端な食事制限や過度なダイエットは、骨量の維持という点でも注意が必要です。

骨吸収が気になったら見直すべき生活習慣

一度変化した顔の骨格を生活習慣だけで元の状態に戻すことはできません。しかし、全身の骨の健康を維持することは、将来的な骨量低下を防ぐうえで重要です。日常生活の中でできる対策を紹介します。
ただし、ここで紹介する対策は全身の骨の健康維持や骨粗鬆症予防に役立つ生活習慣ですが、加齢による顔面骨の形態変化を直接防ぐことが証明されているわけではない点にはご留意ください。

カルシウムを十分に摂る

カルシウムは骨を構成する重要な栄養素です。牛乳・乳製品、小魚、大豆製品、緑黄色野菜など、さまざまな食品から摂取できます。
ただし「カルシウムを多く摂れば摂るほど骨が強くなる」というわけではありません。基本的にはバランスの良い食事を心がけ、必要に応じて医師や管理栄養士に相談しましょう。

ビタミンDを意識する

ビタミンDは、カルシウムの吸収や骨代謝に関係する重要な栄養素です。魚類やきのこ類などに含まれるほか、適度に日光を浴びることによって体内でも作られます。
日本整形外科学会も、骨粗鬆症の予防においてビタミンDの摂取や日光浴を挙げています。

ウォーキングなどの運動を習慣にする

ウォーキングのように体重や重力などの負荷を身体や骨にしっかりとかけるような運動(荷重運動)や筋力トレーニングは、骨の健康維持に役立ちます。激しい運動をする必要はなく、無理のない範囲で継続することが大切です。
日本の骨粗鬆症ガイドラインでも、ウォーキングなどの有酸素運動や荷重運動、筋力運動などが骨密度の維持・向上や骨折予防に有用とされています。

極端なダイエットを避ける

体重を落としすぎることは、骨の健康にとっても好ましくありません。特に食事量を極端に制限するダイエットでは、カルシウムやタンパク質、ビタミンなどの栄養素が不足する可能性があります。
美容目的で体重を減らす場合も、適正体重を維持しながら、栄養バランスを確保することが重要です。

禁煙・飲酒量を控える

喫煙は骨の健康に悪影響を及ぼすことが知られています。また、過度な飲酒も骨折リスクなどとの関連が指摘されています。
骨の健康という観点からも、禁煙や飲酒量を控えることが推奨されます。

骨吸収による老け見え、美容医療で改善できる?

では、すでに加齢によって顔の骨格が変化してしまった場合はどうすればよいのでしょうか。
現在の美容医療では、吸収された骨そのものを美容目的で元の状態に戻すのではなく、骨格の変化によって生じた凹みやボリューム不足を周囲の組織から補うという考え方が基本になります。恵比寿アズクリニックで提供している施術の中から、代表的な選択肢を紹介します。

ヒアルロン酸注入

ヒアルロン酸注入は、顔のボリューム不足や凹みを補い、輪郭や立体感を整える治療です。顔面骨の変化によって生じた「骨格のボリューム不足そのもの」を治すわけではありませんが、骨の上にある軟部組織に適切なボリュームを与えることで、輪郭や顔のバランスを整えることができます。
近年は単純にシワを埋めるだけではなく、顔面解剖を考慮して、必要な部位に構造的なサポートを与える考え方も広がっています。
ただし、血管閉塞など重大な合併症が起こる可能性もあるため、顔面の解剖を十分に理解した医師による慎重な施術が重要です。
恵比寿アズクリニックで取り扱っているヒアルロン酸製剤には、日本国内で厚生労働省の製造販売承認を取得しているジュビダームビスタシリーズと、韓国において顔面部のシワ改善などの医療機器として承認されているヒローウェーブの2種類があります。

▶ジュビダームビスタ詳細 https://az-clinic.tokyo/hyaluronic/
▶ヒローウェーブ詳細 https://az-clinic.tokyo/hilowave/

※ヒローウェーブ(HILO WAVE)は、日本国内においては薬機法上の承認を取得していない未承認医療機器です。

ハイフ・ザーフ・糸リフトなどの「たるみ治療」

顔の老化は骨だけでなく、皮膚や脂肪、支持組織など複数の層で起こります。そのため、ボリューム感を出すヒアルロン酸だけでなく、次のような「たるみ治療」を提案する場合もあります。

・ハイフ(超音波治療)
・ザーフ(高周波治療)
・ポテンツァダイヤモンド(高周波治療)
・糸リフト

骨格やたるみの状態、肌の状態などによっては、複数の治療の組み合わせが適しているケースもあります。
ただし、これらの治療も骨吸収そのものを止めたり、吸収された骨を再生させたりする治療ではありません。あくまで軟部組織のたるみや皮膚の質感など、骨以外の加齢変化にアプローチする治療であることを覚えておきましょう。

老け見えは「骨吸収だけ」が原因ではない

ここまで読むと、「顔の老化を防ぐには骨吸収を止めればいい」と思うかもしれません。しかし、実際の顔の老化はもっと複雑です。最後に、顔の老化とどのように向き合うべきか、基本的な考え方をお話しします。

骨以外の変化

加齢による顔の変化には、複数の組織が関係しています。

骨の加齢変化と同時に、脂肪組織の減少や移動、皮膚のコラーゲン・エラスチンの減少、筋肉やSMAS筋膜、靭帯の変化なども起こります。そのため美容医療では「骨吸収があるからボリュームを足す」という一面的な考え方ではなく、どの層にどのような変化が起こっているのかを見極めることが重要です。

恵比寿アズクリニック公式YouTube

骨吸収が気になる場合はどうすればいい?

「頬がコケてきた」「目の下がくぼんできた」「フェイスラインが以前と違う」などの変化があっても、その原因が必ずしも骨吸収とは限りません。まずは、顔を構成する要素を総合的に確認することが大切です。
また、顔の変化だけで全身の骨粗鬆症の有無を判断することはできません。骨密度の低下が心配な場合や、閉経後で骨粗鬆症のリスクが気になる場合は、整形外科などで骨密度検査を受けることも検討しましょう。

まとめ

骨吸収は、古い骨が吸収される正常な骨代謝の一部です。しかし、加齢やホルモン変化などによって骨吸収と骨形成のバランスが変化すると、全身の骨量が減少することがあります。また、顔面骨でも加齢に伴って部位ごとの骨吸収や形態変化が起こることが分かっており、さまざまな美容面の変化に関係すると考えられます。
気になる場合には、骨の健康を維持するために生活習慣を見直したり、必要に応じてヒアルロン酸注入やたるみ治療などを行ったりと、若々しさを維持する対策を取り入れてみるのもひとつの方法です。
ただし、これらの美容医療は吸収された骨そのものを再生する治療ではありません。顔の老化は骨・脂肪・筋肉・支持組織・皮膚が複合的に変化して起こるため、一人ひとりの状態を診察したうえで、必要な治療を組み合わせることが重要です。

※記事内でご紹介している各商品は記事執筆時の情報に基づいて掲載をしており、変更となっている可能性がございます。ご購入の際は最新情報をお確かめください。

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監修医師紹介

奥野彰子/医師

奥野 彰子 / Akiko Okuno

医師・恵比寿アズクリニック院長

  • 東京慈恵会医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院にて形成外科に入局。
  • 2008年より美容皮膚科 院長を15年勤める。
  • 2023年5月 恵比寿アズクリニック院長に就任。

監修医師詳細プロフィール

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