「ちょっとしたことでイライラする」「生理不順で、生理痛も思い」このような女性特有の症状に悩んでいる人は多いもの。その陰には、女性ホルモンのバランスの乱れが潜んでいるかもしれません。
よく耳にする「ホルモンバランスの乱れ」という言葉ですが、それによって引き起こされる症状は、生理不順や冷え性、肌荒れまで多岐にわたります。
今回は、女性ホルモンのバランスが乱れているサインと、整える方法をご紹介します。不快な症状に悩まされている人は、これを機に一度ご自身のホルモンバランスと向き合い、生活を見直してみましょう。
この記事のポイント
女性ホルモンの種類と役割|「バランスが乱れる」ってどういうこと?
女性ホルモンと呼ばれるホルモンには「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2種類があります。
エストロゲン(卵胞ホルモン)
主に妊娠の準備に関係しているホルモン。
体温を下げる・血管を拡張させる・水をため込む・皮下脂肪を増やすなどの働きがあります。
女性ホルモンですが男性の体内にも存在し、高血圧や心筋梗塞を予防する役割を担っています。
プロゲステロン(黄体ホルモン)
妊娠をサポートするホルモンで、乳腺を発達させたり、体温を上昇させたりしてくれます。
しかしその働きが過剰に働くことで悪影響となることもあります。
例えば、胎児を守るため身体に水分をため込む働きはむくみにつながり、紫外線の刺激を防ぐ働きはメラニンを増加させシミの原因となります。
女性ホルモンの変化
2つの女性ホルモンの分泌量は、互いにバランスを取り合いながら約28日周期で変化します。
排卵前には、妊娠に向けて身体の準備をするためにエストロゲンが多く分泌されますが、排卵後は分泌量が減り、反対に妊娠をサポートするプロゲステロンの分泌が急激に増加します。その後両方の分泌量が減少し、月経が始まるというのが通常のホルモンバランスの変化です。
しかし2つのホルモンの分泌バランスが乱れると、月経の周期が崩れ、体調にもさまざまな悪影響を与えてしまいます。
女性ホルモンのバランスが乱れると生じる症状
ホルモンバランスが乱れることで生じる症状はさまざま。代表的な症状を挙げていきます。
PMS・生理不順・生理痛など
生理前3~10日の時期に始まる、さまざまな精神的・身体的な不調のことをPMSと呼びます。
生理前はエストロゲンとプロゲステロンの両方の分泌量が大きく変化するため、体調や精神面も不安定になりやすい時期なのですが、ホルモンバランスの乱れによって症状がより重くなると言われています。
また女性ホルモンのバランスが乱れていると当然生理周期も乱れがちになり、生理痛が重くなることも。
ただし「何ヶ月も生理がこない」「毎回寝こむほどの痛みがある」という人は、別の病気が潜んでいる恐れもありますので、すぐに産婦人科を受診しましょう。
自律神経失調症
女性ホルモンを分泌する脳の部位は、自律神経と近い場所にあり、相互に影響を及ぼし合っていると言われています。そのためホルモンバランスが乱れは自律神経失調症の一因と考えられており、女性の方がかかりやすい疾患なのです。
自律神経が乱れると、冷え性や便秘、めまい、倦怠感(けんたいかん)などさまざまな不快症状が現れます。
更年期障害
更年期障害は、閉経を機にエストロゲンの分泌量が減少することで起こります。頭痛や動悸、めまい、冷え、関節痛などその症状は幅広く、つらい症状に悩む人も少なくありません。
エストロゲンの減少は年齢とともに必ず起こる自然な変化ではありますが、ある意味ホルモンバランスの乱れによる症状と言えるでしょう。
肌荒れ
女性ホルモンは、肌の状態にも大きな影響を及ぼします。
エストロゲンには、コラーゲンを生成して肌にうるおいとハリを与える作用がある一方、プロゲステロンは皮脂の過剰分泌を促すことで知られており、生理前に肌荒れが起きやすいのはこれらの分泌量の変化が大きな要因になっているのです。
ホルモンバランスが乱れている人は、生理前でなくとも肌の状態が安定しにくく、肌荒れやニキビが出来やすくなります。
「ホルモンバランスの乱れ」チェックリスト
はっきりとした“症状”とまでいかないまでも、日常生活のちょっとした“困りごと”が、実は女性ホルモンのバランスの乱れから起こっている可能性もあります。
よくある症状を紹介しますので、ご自身の体質と照らし合わせてみましょう。
冷え性 | 足や腰が冷えてしまう原因に、ホルモンバランスの乱れによる、自律神経の乱れがあります。 夏場でも手先や足先が冷える、冬場にどんなに対策をしても冷えてしまうという人は要注意。 |
---|---|
精神的に不安定 | 女性ホルモンのバランスが乱れると、精神的に不安定になり、イライラしたり落ち込んだりしやすくなります。うつ病に進行することもあるので早めの対処が必要です。 |
疲れが取れにくい/疲れやすい | エストロゲンの分泌量が減少すると、疲労物質が体外に排出されにくくなります。「疲れやすい」「寝ても疲れが取れない」という人は、ホルモンバランスの乱れに意識を向けてみてください。 |
乾燥肌 | エストロゲンには、肌の保湿に関わる成分を維持する働きがあります。 そのため分泌量が減少すると乾燥肌の原因となってしまいます。 |
ヒゲが生えてきた | わかりやすい女性ホルモン減少の一例です。 男性ホルモンの影響が出やすくなり、ヒゲが生えてきたり、毛が濃くなったりします。 |
顔がほてる | 女性ホルモンのバランスが乱れて起こる更年期障害の大きな症状である顔や手のほてり。自律神経に影響が出ていて、閉経前ではない30代の若い女性に起こることもあるため、注意が必要です。 |
どの項目もホルモンバランスが崩れることによって引き起こされるお悩みです。「もしかしたら」と感じた方はホルモンバランスを整えるよう意識しましょう。
女性ホルモンのバランスが乱れていると感じたら?今すぐできる対策
ホルモンバランスの乱れを感じたら、今すぐ生活習慣を見直しましょう。毎日の積み重ねによって不快な症状を和らげることができるはずです。
ただし重度のPMS症状や生理痛、炎症を伴う肌荒れなどが発生した場合には、無理せずすみやかに医療機関を頼ってくださいね。
無理なダイエットやストレス過多の生活を改める
「無理なダイエットで生理が止まってしまった」という話はよくあります。特に過剰な食事制限を続けているとホルモンの生成に必要な栄養素が不足するため、ホルモンバランスが乱れる大きな要因となり得ます。
キレイになるためのダイエットでかえって痩せにくい身体になったり、体調を崩してしまったりしては元も子もありません。暴飲暴食を控えることは大切ですが、糖質や脂質を極端に控えるのは止め、バランス良い食事を心がけることが大切ですよ。
またストレスもホルモンバランスを乱す原因のひとつ。仕事や人間関係、家事・育児など、現代社会ではストレスなく生活するのが難しい面もありますが、できるだけストレスフルな環境を改善するよう意識してみましょう。
ホルモンバランスの調整に役立つ栄養素
できることなら、ホルモンバランスに良い影響を与えてくれる栄養素を食事で摂取したいもの。次のような栄養素を積極的に取り入れられる食生活を意識してみましょう。
大豆イソフラボン | エストロゲンと似た働きをする →大豆製品 |
---|---|
亜鉛 | 女性ホルモンの分泌を促す →牡蠣、赤身肉、カツオ など |
タンパク質 | ホルモンの材料となる →肉類、魚介類、乳製品、豆類 など |
ビタミンB群 | エストロゲンの代謝に関わる →豚肉、カツオ、モロヘイヤ など |
ビタミンE | ホルモン分泌を整える →ナッツ類、ひまわり油、たらこ など |
ただしいずれの食品も食べすぎは良くありません。さまざまな栄養素をバランスよく摂取してこそ、健康と美容は保たれるのです。
睡眠をとって生活リズムを整える
女性ホルモンのバランスが乱れると、自律神経も乱れて体温調節機能に影響を及ぼします。そのため眠りにつきにくく、睡眠の質も低下しがちです。
睡眠不足が続くと疲労やストレスが解消されず、一層ホルモンバランスが整いにくくなるという悪循環に陥ってしまいます。睡眠不足や寝つきの悪さを感じている人は、入眠しやすくなる習慣を意識し、改善を目指しましょう。
・夕食から就寝までは3~4時間程度あける
・終身までの2~3時間は、テレビ・パソコン・スマホの画面を見ない
・就寝前にぬるめのお湯にゆっくり浸かる
・就寝前に軽くストレッチやマッサージをする
・就寝前にハーブティを飲んで体を温める
また「眠ろう」と思えば思うほど眠れなくなることもありますよね。これらの習慣を意識しながらもできるだけリラックスして過ごし、自然に眠りに就けるよう少しずつリズムを整えていきましょう。
リラックスする時間をつくる
ストレスにより自律神経が乱れると、女性ホルモンのバランスも整いにくくなります。意識的にリラックスタイムを設けて、心身を労わってあげましょう。
ストレッチやウォーキングなどの軽い運動を取り入れるのは特におすすめです。心のリラックスにつながるとともに、筋肉の凝りや血行不良を解消することで、ホルモンバランスの乱れからくる冷えや疲れを改善することができます。
また音楽や読書などの趣味に没頭したり、家族や友人とゆっくり会話を楽しんだりするのも良いでしょう。
ぜひご自身にあったリラックス方法を見つけてみてください。
まとめ
女性ホルモンのバランスの乱れから起こる不調は慢性的な場合が多く「こんなものだろう」と諦めてしまう人もいるかもしれません。しかしその原因はあなたの生活の中に隠れていることもあります。生活そのものを見直して根本的に改善するのがおすすめです。
生理に関する不調が長く続くときは医療機関に相談するなど、正しいケアで気持ちの良い生活を送っていきましょう。