【医師監修】更年期障害でよくある症状と対処方法

更年期に入ると、体の中でさまざまな変化が起こります。特に女性は急激なホルモンバランスの変化により、それまで感じたことのないような症状が現れて、健康や美容に不安を感じる人も多いでしょう。
そのような更年期に起こる心身の諸症状を「更年期障害」と呼びます。今回は主に女性の更年期障害について、よくある症状と対処方法を解説します。

なお恵比寿アズクリニック公式YouTubeでも、更年期障害の対策について詳しく解説しています。動画の方が見やすいという方は、ぜひこちらをチェックしてみてください。

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この記事のポイント

  • 更年期障害でよくある症状がわかる
  • 更年期障害の各症状が出るメカニズムがわかる
  • 更年期障害のつらい症状を緩和させる対処法がわかる

目次

更年期障害はなぜ起こる?症状が出る原因

これから更年期を迎える人の中には、「嫌だな…」「怖いな…」と感じている人もいるかもしれません。しかし、そんなに恐れる必要はありません。
実態を正しく理解して、前向きに捉えられると良いですね。まずは更年期障害が起きる根本的な原因を探っていきましょう。

更年期とは

実は「更年期」自体は年代の区切りのひとつにすぎません。女性の年代はホルモン量や体の変化に基づき、大きく5つに分けられます。

幼児期 身体や運動機能が発達する時期
思春期 女性ホルモンが急増する時期
性成熟期 女性ホルモンの分泌が最も多い時期
更年期 女性ホルモンが急減する時期
老年期 内臓機能などの低下が現れやすくなる時期

更年期は「幼児期→思春期→性成熟期」とこれまで過ごした延長線上にあるもの。具体的には閉経の前後各5年間、合計10年ほどの時期のことを指します。日本人の閉経年齢の平均は50.5歳とされているため、おおよそ4555歳の時期ということになりますね。

更年期の体で起きていること

更年期にさしかかると、グラフのように女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が急激に減少します。これにより、体の中でさまざまな変化が起きるのです。

自律神経の乱れ

女性ホルモンの分泌をコントロールしている脳の視床下部は、自律神経を司る部位でもあります。
卵巣機能の低下により女性ホルモンが急激に減少すると、脳は「もっとホルモンを出せ」と命令を出すのですが、卵巣はすでにホルモンを出すことができない状態です。こうして「命令は出ているのにホルモンが増えない」状況に陥ることで視床下部が混乱し、自律神経にも影響をきたすというわけです。

セロトニンの減少

セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、気分や感情を安定させる働きがあります。エストロゲンにはセロトニンの分泌を促す作用があるため、更年期に入りエストロゲンが減少すると、それに伴ってセロトニンも減少します。

コラーゲンや骨量の低下

エストロゲンには、体内のコラーゲン産生や骨の代謝にも深く関わっています。そのためエストロゲンが減少すると体内のコラーゲン量や骨密度が低下し、美容や健康に大きな影響を及ぼします。

悪玉コレステロールの増加

エストロゲンには、LDL・悪玉コレステロールを減らす働きがあります。特別油っこい食事をしているわけではないのにコレステロール値が上がることがあり、健康面に一層の注意が必要になってきます。

更年期障害でよくある症状

更年期に入ったからといって、必ずしも全員が更年期障害を発症するわけではありません。症状が見られる場合でも程度には個人差が大きく、ごく軽い人から生活に支障をきたすレベルの人までさまざまです。
中には更年期障害の自覚がないために「なんとなく調子が悪い」と感じているのに放置してしまっているケースも。正しい対策をとるために、まずはご自身の状態を把握しましょう。具体的によく見られる症状をご紹介します

ホットフラッシュ

体が突然カッと熱くなり、のぼせ・ほてり・発汗などの症状が発生することがあります。これらはホットフラッシュと呼ばれるもので、突然始まり数分~数十分程度続きます。
自律神経の乱れにより、体温調整機能が働かなくなっていることが原因です。
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日に何度もくり返すケースもあり、身体的な不快感だけでなく、発汗による服の汗じみなどを気にする人もいます。

冷え性

ホットフラッシュと同じく自律神経の乱れが原因ではありますが、逆に体が冷えてしまう人もいます。中にはホットフラッシュと冷え性が併発して、上半身は熱いのに下半身や手足は冷えている「冷えのぼせ」と呼ばれる症状が現れることもあります。
また冷えに起因する血行不良から、肩こりや疲労感を強く感じるケースも多く、QOLを大きく下げる要因となり得ます。

動悸・息切れ

自律神経の乱れが心肺機能に影響し、動悸や息切れが起きることがあります。数秒~数分程度の一時的な症状である場合が多く、ホットフラッシュを伴うこともあります。
ただし動悸や息切れは更年期特有のものだけでなく、心不全や不整脈など他の病気が隠れていることも考えられます。症状が強い人、慢性化している人などは、早めに循環器内科を受診しましょう。

不眠

寝つきが悪い、途中で何度も目覚めてしまうなどもよくある症状です。
睡眠には自律神経が深く関わっており、夜間に副交感神経が優位になることでスムーズに入眠できると言われています。自律神経が乱れがちな更年期はそもそも睡眠の質が低下しがちなことに加え、ほてりや冷えなど他の更年期症状によって一層不眠に陥りやすい状態と言えます。

メンタルの不調

セロトニンの分泌低下や不眠などを原因として、メンタルが不安定になることがあります。

・イライラする
・怒りっぽくなる
・気分が落ち込み
・意欲の低下
・不安感の増大
・情緒不安定になる

このように不調の現れ方はさまざまで、一時的な症状な場合も多いですが、生活に深刻な影響を与えるケースも考えられます。
また4050代は、親の介護や子供の独立、自身の老化など、社会的・環境的な変化がストレスとなる場合もあり、ホルモンバランスの乱れと相まってメンタルに影響を及ぼすことも考えられます。
辛いと感じたら無理せず婦人科や心療内科を受診してみてください。また家族をはじめ周囲の人の理解を得ながら、ご自身を労ってあげることも大切ですよ。

肌の乾燥・シワ・たるみ

「年齢を重ねるごとに肌が乾燥しやすくなってきた…」と感じている人も多いのではないでしょうか。エストロゲンの減少により肌内部のコラーゲン生成が鈍化すると、肌に水分を保つ能力が低下し、乾燥しやすくなります。これにより肌のカサつきやキメの乱れ、赤みや肌荒れなどさまざまな肌トラブルにつながるのです。
またコラーゲン量が減るということは、肌のハリや弾力が失われることを意味します。同時に骨の萎縮や靭帯の緩みも進行し、顔のたるみやシワが気になるようになってきます。
若々しさを保つためには、スキンケアや食生活の見直しが大切です。

さらに、乾燥は肌だけに起きるわけではありません。エストロゲンの低下により粘膜も乾燥しやすくなるため、ドライアイや、口粘膜の乾燥による口臭が気になるケースもあります。
またコラーゲン量が減ることで軟骨に負担がかかりやすく、関節のこわばりや痛みが生じる人もいます。

生活習慣病

更年期には悪玉コレステロールが増えることで、脂質異常症、高血圧、糖尿病、動脈硬化など生活習慣病のリスクが高まります。また骨密度の低下により骨粗鬆症も起こりやすくなると言われています。
これまでと同じように生活しているだけでも、自然とさまざまなリスクが増えてくる更年期。定期的に健康診断を受けるとともに、食生活を始めとする生活習慣の見直しが必要です。

男性にも更年期障害は起きる?特有の症状

「更年期障害と言えば女性特有のもの」というイメージを持つ人も多いですが、実は男性にも更年期障害は存在します。男性更年期障害(加齢性腺機能低下症、LOH症候群)などとも呼ばれ、男性の場合は男性ホルモン(テストステロン)の減少が大きな要因と言われています。
症状としては、イライラ感や不安感などの精神症状、ほてりや多汗症、冷え、関節痛などの身体症状、性欲減退などの性機能関連症状など多岐にわたります。また女性と比べホルモン量の変化が緩やかなために、症状が出ていても「更年期障害である」と気づきにくい点に注意が必要です。
気になる症状がある場合は「年齢だから」と諦めず、医療機関に相談してみてください。男性更年期の相談は泌尿器科が最も一般的ですが、身体症状なら内科、精神症状なら診療内科など、自覚症状に応じて診療科を選んでも良いでしょう。

更年期障害の症状が起きたら?今日からできる対策

ここからは、女性の更年期障害の対処法を紹介していきます。すでに更年期の症状が出ている人はもちろん、これから更年期を迎える人も予防として取り組んでみてください。

我慢せず婦人科に相談しよう

症状が重く日常生活に支障が出ている方、QOLの低下を感じている方は、無理せず婦人科に相談することをお勧めします。専門的な治療を受けることで症状が改善し、快適に生活できるケースも多いのです。
更年期障害の治療としては、減少したエストロゲンを補うホルモン補充療法HRT)を行うのが一般的です。ただし体質や病歴などを理由に投与ができない場合もあるため、漢方療法や自律神経調整薬、プラセンタ注射など他の手段で治療を進めるケースもあります。
保険適用で行える治療が多いため、気になる症状がある人は診察を受けてみてください。

食生活を整える

更年期に入ると、これまで以上に食生活の重要性が増してきます。
何と言ってもLDLコレステロール値が上がりやすくなりますので、脂質の摂りすぎは控えるよう気をつけましょう。飽和脂肪酸の多いバターやラード、トランス脂肪酸の多いマーガリンやスナック菓子、脂身の多い肉類、魚卵などの食べ過ぎは特に要注意です。
逆に次の栄養素は意識して摂ると良いでしょう。

大豆イソフラボン エストロゲンと似た働きをする
カルシウム・ビタミンD 骨密度の低下を防ぐ
ビタミンE ホルモン分泌の調整、血行促進
食物繊維 LDLコレステロールを下げる

特に大豆イソフラボンが腸内で代謝されることで生み出されるエクオールという成分は、大豆イソフラボンのままよりも強い働きをすることがわかっており、更年期対策として非常に有用です。しかし日本人の2人に1人は、体内でこのエクオールを作り出せないと言われているため、サプリメントで補うのもお勧めですよ。

また乾燥対策として、水分を積極的に摂ることも忘れないようにしましょう。ただし、コーヒーや紅茶などカフェインの入った飲み物は、不眠などの悪化リスクがあるため飲み過ぎに注意してください。

運動習慣をつける

適度な運動は更年期症状の軽減につながると言われています。ストレス解消にもつながりますので、これまで運動習慣がなかったという人は、これを期に始めてみてはどうでしょうか。
運動の種類によっても得られやすい効果がかわるため、複数の運動を組み合わせるのが理想です。ただし「そんなにいろいろできない…」という人は、取り敢えずどれか一つでも始めてみることが大切ですよ。

有酸素運動
(ウォーキング、ジョギング、水泳など)
脂肪燃焼、心肺機能向上
筋トレ
(スクワット、腿上げなど)
代謝向上、骨密度維持
ストレッチ、ヨガ 自律神経の安定、リラックス

運動の頻度としては「週に3~4回、1日30~60分」ほどが理想と言われています。
ただし、できなかったからといって自分を責めず、楽しむことが大切。また更年期症状が強く出ている日や調子が悪い日はお休みするなど、無理なく続けてみてください。

ストレス解消

現代社会で生活していると、ストレスをなくすことは難しいですよね。そんな中だからこそ、自分に合った解消方法をみつけることはとても重要です。先に紹介した運動もストレス解消には効果的ですが、なかなかまとまった時間が取れないときなどは、次のような発散方法もオススメです。

・甘いものを少量食べる
・噛み応えのあるものを食べる(ガム、ナッツなど)
・ストレッチなど着替えずその場でできる運動を取り入れる
・家やオフィスの中を歩いてみる
・湯船につかる
・温かい飲み物を飲む
・深呼吸をする

ちょっとしたリフレッシュを挟むだけでも、ストレス緩和には効果的です。ぜひ隙間時間に取り入れてみてください。

逆に暴飲暴食、過度な飲酒・喫煙、ギャンブルなどをストレス発散と捉えている人もいますが、これらはおすすめできない方法です。確かにこれらは一時的にストレスを発散させることができるかもしれませんが、心身にダメージを与えたり、最終的にかえってストレスを溜める原因となったりと、マイナス要素が大きいのです。またアルコールやギャンブルなどは依存性が高く、いつの間にかやめられなくなる「依存症」の状態になってしまう場合もあります。
絶対に控えるべきとまでは言いませんが、ストレス発散として習慣にするのではなく、たまの娯楽としてコントロールできる範囲に留めることが大切です。

更年期障害の症状緩和のため美容皮膚科でできること

更年期障害の根本的な改善には、やはり婦人科に行くのが1番です。しかし美容皮膚科で役立てることもいくつかあります。
最後に、恵比寿アズクリニックでできる治療の中から、更年期対策につながるものをご紹介します。

プラセンタ注射

プラセンタとは、胎盤由来の抽出物を体内に注入する治療のことです。プラセンタには三大栄養素(脂質・たんぱく質・糖質)や成長因子が豊富に含まれており、ホルモンバランスや自律神経と整える効果が期待できます。
注射方法は筋肉注射または皮下注射となり、肩こりが酷い場合などは肩のツボを狙って注入する「ツボプラセンタ」という打ち方をすることもあります。体質により合う・合わないの大きい治療ではありますが、症状が大きく改善できるケースも多いため、人気の高い治療方法です。

プラセンタ注射は多くの美容皮膚科クリニックで取り扱われていますが、美容目的の場合は自費診療となるため、保険適用で受けたい場合は婦人科を受診するのがお勧め。
一方で、他の美容施術を合わせて受けたい人は美容皮膚科で受けるのも良いでしょう。

美容施術が役立つことも

更年期を堺に出てきた美容のお悩みに対して、それぞれアプローチするというのも対策としては良い手段です。代表的な悩みと施術は次の通り

脇汗 ボトックス注射
顔のたるみ ハイフ、ザーフ、ポテンツァダイヤモンド など
肌の乾燥 肌育注射、エレクトロポレーション、ターゲットクール など

美容皮膚科で提供される施術は自費診療がメインのため、比較的費用が高額になる場合もありますが、更年期特有のお悩み以外もまとめて改善できることが多いです。
ぜひ相談してみてください。

まとめ

更年期は年を重ねれば誰もが通る時期ですので、過度に不安がる必要はありません。更年期症状が出てしまった場合でも、婦人科の治療を受けたり、生活習慣を見直したりすることで、症状を軽減することは可能です。
美容面の症状でお悩みの方は、もちろん美容皮膚科でもお役に立てると思います。ネガティブになりすぎず、症状とうまく付き合っていけると良いですね。

※記事内でご紹介している各商品は記事執筆時の情報に基づいて掲載をしており、変更となっている可能性がございます。ご購入の際は最新情報をお確かめください。

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監修医師紹介

奥野彰子/医師

奥野 彰子 / Akiko Okuno

医師・恵比寿アズクリニック院長

  • 東京慈恵会医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院にて形成外科に入局。
  • 2008年より美容皮膚科 院長を15年勤める。
  • 2023年5月 恵比寿アズクリニック院長に就任。

監修医師詳細プロフィール

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