毎日のスキンケアには、肌に合ったアイテムを選ぶのが鉄則。しかしアトピー性皮膚炎や極度の敏感肌の方は、なかなかご自身に合う化粧品が見つからずに悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、デリケートな肌の方にも使いやすい基礎化粧品について紹介します!オススメアイテムだけでなく、選び方のポイントや、化粧品で炎症が強く出てしまった際の対処法もお伝えします。ぜひ化粧品選びにお役立てください。
この記事のポイント
化粧品選びの前に~アトピー性皮膚炎について知ろう~
まずはアトピー性皮膚炎について理解しておきましょう。
アトピー性皮膚炎の症状
アトピー性皮膚炎とは、痒みのある湿疹を主な症状とする皮膚疾患です。湿疹は顔だけでなく、首や手足の関節部など皮膚の薄い部分にできやすいのが特徴で、慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返します。
皮膚の状態が悪化する要因は人によってさまざまで、ダニやハウスダストなどのアレルギーによる場合もあれば、生活環境の変化や体調不良などによる免疫力の低下、ストレスなどを契機に悪化する場合もあります。
アトピー性皮膚炎の治療
アトピー性皮膚炎の治療には、次の3つの柱があります。
①薬物療法(外用薬・内服薬・注射薬を使って皮膚の炎症を抑える)
②環境整備(悪化要因を特定し、可能な限り排除する)
③スキンケア(皮膚を清潔に保つと同時に、保湿によりうるおいを保つ)
皮膚科での治療だけでなく、生活環境の見直しやスキンケアも改善には大切な要素。特にスキンケアは症状が悪化しているときだけでなく、症状が軽いときも続けていくことが大切とされています。
この3本柱を継続することで少しずつ症状を緩和し、薬物療法を止めても日常生活に支障がないレベルまで改善することを目指していきます。
炎症予防における”保湿”の重要性
アトピー性皮膚炎の人に限らず、乾燥すると肌が痒くなってしまうことはありますよね。これはなぜなのでしょうか。
通常、皮膚の表層にある「角質層」がバリアの役割を果たし、紫外線や雑菌などの外部刺激からお肌を守っているのですが、肌にうるおいが不足した状態ではこの「バリア機能」が正常に働かず、外部刺激に対して過敏に反応してしまいます。
結果として痒みが起きやすくなったり、肌荒れを引き起こしたりといった肌トラブルにつながります。肌を乾燥から守ることは、肌の健康や美しさを保つために必要不可欠なのです。
アトピーの方は要チェック!化粧品選びのポイント
アトピー性皮膚炎の症状がある人や、極度の敏感肌で肌荒れを起こしやすいという人は、どのような基礎化粧品を選べばよいのでしょうか。注目すべきポイントをまとめました。
ポイント①使われている成分が少ないものを選ぶ
たくさんの美容成分が配合されていると、それだけで「良い化粧品」「高級な化粧品」のように見えますが、配合成分や添加物の数だけ、肌トラブルを起こす可能性も高まります。
さらに言えば、どの成分が自分に合わないのかも見極めにくくなってしまうのです。購入する際には、できるだけシンプルな成分構成の化粧品を選びましょう。
ポイント②肌に刺激となりやすい成分を理解する
化粧品の品質を安定させるために配合される添加物などが原因で、アトピーの症状を悪化させてしまうことがあります。そういった成分が必ずしもすべてが「肌に悪い」わけではありませんが、肌トラブルを引き起こし得るのは事実。覚えておくと良いでしょう。
合成界面活性剤 | 高い洗浄力で、肌の保湿因子であるセラミドを溶かしてしまうことがある |
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香料 | アレルギー症状を引き起こすことがある |
合成着色料 | アレルギー症状を引き起こすことがある |
アルコール (エタノール) |
肌の水分を奪い、乾燥・赤み・ヒリつきを引き起こすことがある |
また美容成分として配合されている成分であっても、濃度や純度などによっては肌への刺激となる場合があります。ハイドロキノン、レチノール、ビタミンCなどは代表的な成分です。
ハイドロキノンはメラニンの発生を抑える成分で、美白化粧品に多く使われています。美白効果は高いのですが、非常に刺激が強いため、炎症を引き起こすことも。
レチノールやビタミンCも、肌のハリを高めたり、皮脂分泌を抑制したりといった嬉しい効果がある反面、濃度が高いとかえって肌荒れを起こす場合があります。
そういった成分を使う場合には商品の推奨量を超えた使用は避け、間隔を開けて少量ずつ使い始めるようにしましょう。
ポイント③「無添加」「〇〇フリー」にはご注意!
肌に優しい化粧品を選ぶ時、安易に「無添加」「○○フリー」といったものに手を伸ばしてはいませんか?
例えば「防腐剤無添加」は一見肌に良さそうに感じるかもしれませんが、一般的な商品よりも劣化が早い恐れがあり、菌の繁殖を避けるためには短期間で使い切る必要が出てきます。
また紫外線吸収剤は肌への刺激になりやすいと言われていますが、紫外線吸収剤不使用のノンケミカルUVクリームは伸びが悪い場合や白浮きしやすいものもありますので、肌にしっかり馴染ませようと強く擦ってしまい、かえって肌への負担となる恐れもあります。
「刺激になりやすい成分」があることは事実ですが、「この成分が入っていたら絶対にダメ!」ということではありません。ご自身の肌質や使用環境によっても適切なアイテムは異なりますので、「無添加」「フリー」だけに安心せず、全体的なバランスを見極めることが大切です。
ポイント④トラブルが起きたら成分を覚えておく
肌トラブルが起きた時に、どんな成分を配合した化粧品を使っていたのか、しっかり記録しておきましょう。次に化粧品を選ぶ時の参考になりますし、皮膚科などを受診する時にも便利です。
最近は商品ホームページなどに成分が記載されていることが多いので、パッケージを捨ててしまった場合にはぜひご活用ください。
アトピーでも使いやすい基礎化粧品おすすめ3ブランド
具体的におすすめのブランドを3つご紹介します。いずれも低刺激かつ保湿力が高く、アトピーの方でも比較的使いやすいアイテムを多く展開しているブランドです。
しかし、残念ながら必ずしも「すべての方が問題なく使える」と言い切ることはできません。化粧品である以上、どうしても「合う・合わない」は出てきてしまうものです。
ですので、まだ使ったことのないブランドがあれば、まずは1アイテムから試してみると良いでしょう。
プルエスト
医療現場の湿潤療法にも活用されるハイドロジェルから着想を得た独自の保水ジェルをベースとしたアイテムを展開するスキンケアブランドです。うるおいを守ることで肌の基礎力を高めることができます。
また低刺激性にもこだわっており、肌の刺激となりやすい成分はできるだけ排除して製品づくりをされています。
乾燥の季節にアトピー症状が悪化してしまうという人や、慢性的に肌のカサつきが気になるという人にオススメです。
注目アイテム
プルエスト マンナンジェリーハイドロウォッシュR
出典:プルエスト公式サイト
価格:3,850円(税込)/120g
水分の蒸発を防ぐ独自の保水ジェルをベースにした洗顔料です。プルプルとしたジェルを濡れた手で顔に広げていくと細かな泡が立ち、3種のジェリーボールが肌を傷つけずに汚れを吸着して落とします。
低刺激で洗いあがりもつっぱらないため、ぜひ1度使ってみてほしいアイテムです。
※恵比寿アズクリニックで取り扱っております
ノブ Ⅱシリーズ
ノブは、敏感肌のために臨床皮膚医学に基づいて開発されたブランド。中でも「Ⅱシリーズ」は配合成分を厳選し、原料の精製度にもこだわった、シンプル&ピュアな処方となっています。
低刺激ながら保湿力の高い5つのアイテムで構成されており、使い方も明確。「余分な成分のないシンプルなケアがしたい」という人にオススメです。
注目アイテム
ノブⅡ モイスチュアクリーム
出典:ノブ公式サイト
価格:5,500円(税込)/50g
炎症を抑える2つの有効成分(アラントイン、グリチルリチン酸2K)を配合した薬用保湿クリームです。みずみずしいテクスチャーが特徴で、やわらかく伸びが良いため、軽い力で顔全体に伸ばすことができます。
非常にシンプルな成分構成ながら、敏感な肌をしっとりとうるおしてくれますよ。
プラスリストア
医療専売のスキンケアブランドの中でも、低刺激性に定評のあるプラスリストア。レーザー・光治療後のデリケートな肌でも使えるよう開発されたブランドですが、もちろん美容医療の施術を受けていない人でも使うことができます。
スキンケア中に「さわらない・こすらない・刺激しない」を徹底するため、無駄なステップを省き、必要なスキンケアだけを厳選しています。
注目アイテム
プラスリストア TPNaローションMD
出典:プラスリストア公式サイト
価格:5,280円(税込)/100ml
dl-α-トコフェリルリン酸Naとグリチルリチン酸2Kという2つの有効成分が肌の炎症を防ぐ、薬用化粧水です。
防腐剤無添加、オイルフリー、アルコールフリーなど、低刺激性にこだわった処方かつ保湿力も高いため、肌荒れが起きやすい敏感肌の方や、アトピーの症状に悩む方にも使いやすい1本です。
化粧品でアトピーが悪化したら?
どれだけ「肌にやさしい」とされる化粧品を選んだとしても、体質や体調次第で肌荒れを引き起こしてしまうことがあります。基礎化粧品やメイクアップ用品を変えた直後に肌荒れが発生した場合に取るべき行動を覚えておきましょう。
化粧品の使用をやめる
まずは、思い当たるアイテムの使用を直ちに停止してください。刺激となってしまった成分を見極めるのは難しいものですが、今後のために成分表を確認しておきましょう。
また、いつもより肌が敏感になっていると感じたときは、過剰なスキンケアは控えるのが安心です。美白ケア、エイジングケアなどはお休みして、保湿を重点的にできるだけシンプルなケアを行いましょう。
「日焼け止めとフェイスパウダーのみ」などメイクも軽めにすることで、クレンジングの負担を減らすこともできますよ。
皮膚科のクリニックで相談する
ひどい痒みや痛みがある、赤みが引かないといった場合には、皮膚科を受診しましょう。
内服薬や軟膏などを適切に処方してもらうことで、炎症を早期に鎮めることができます。
また専門家に診てもらうことで、違った観点からのケア方法を知ることができるかもしれません。
化粧品の使用方法を見直す
化粧品自体ではなく、使い方が原因で肌荒れが起きている場合もあります。商品ごとの使用方法や推奨量をよく確認し、擦らずやさしくスキンケアやメイクを行うよう意識しましょう。
また化粧品の保管方法にも注意が必要です。種類にもよりますが、一般的に化粧品の使用期限は開封後3~6か月と言われています。劣化が進むと品質が落ちるだけでなく、雑菌が繁殖してしまう場合もあります。
高温多湿や直射日光が当たる場所での保管、蓋を開けたまま放置するといった行為は劣化を早める原因となりますので、ぜひ保存期間や保存方法についても改めて見直してみてください。
まとめ
化粧品選びに悩みがちなアトピー肌。「いろいろな化粧品を試しているのに正解にたどり着けない」という人も多いと思います。この記事が、そんな皆さんの一助になれば幸いです。
また、長年化粧品選びに悩んでいるという人は、皮膚科や美容皮膚科のクリニックでスキンケアについて相談してみることも検討してみましょう。専門家の視点で客観的に判断してもらうことで、今まで得られなかった解決策が見つかるかもしれません。一人で悩みすぎず、ぜひ医療機関を頼ってみてくださいね。