シワ改善治療のひとつとして知られているボトックス注射。中でもご希望の多い部位のひとつに、額(おでこ)のシワ改善を目的とするケースがあります。額のシワは見た目の若々しさを大きく左右しうる要素であり、ボトックス注射で改善することによって高い満足度を感じる方が多いのです。
一方で額ボトックスは「失敗しやすい部位」というイメージがあり、施術をためらっている方もいるのではないでしょうか。
今回は額ボトックスの効果やリスク、施術の流れなどについて解説します。検討している方はぜひ参考にしてください。
この記事のポイント
額ボトックスの効果

そもそもボトックスとは、ボツリヌストキシン(ボツリヌス菌が産生する神経毒素)を有効成分とする薬剤のことです。本来は商品名である「ボトックスビスタ」のことを指しますが、一般名称としてボツリヌストキシン製剤全般を「ボトックス」と呼称する場合もあります。
ボツリヌストキシンには、神経伝達物質アセチルコリンの放出を抑え、筋肉の収縮をやわらげる作用があります。これにより筋肉の過剰な収縮や緊張が抑えられ、表情筋の収縮を原因とするシワを予防・改善する効果が期待できます。
このボトックス注射を額に対して打った場合の効果をまずはご紹介しましょう。
前頭筋を原因とする表情シワを改善

額のシワには、前頭筋(ぜんとうきん)という筋肉が深く関わっています。前頭筋は額から頭皮にかけて広がる筋肉で、眉毛を引き上げたり目を見開いたりすることで表情を作る「表情筋」のひとつです。
この前頭筋が眉毛から頭皮にかけて縦方向に収縮すると、皮膚が織り込まれて横方向のシワが現れます。この動きが頻繁に行われるようになると、だんだん織り込まれた皮膚が癖づき、無表情のときにもシワが目立つ状態となってしまうのです。
こういった状態の方に対して額ボトックスを行うと、前頭筋の過度な収縮が抑制され額の横シワができにくくなります。既に刻まれたシワを完全になくすことは難しい場合も多いですが、施術を繰り返してこの状態がキープされることにより、少しずつ改善するケースもあります。
シワの予防
既に刻まれたシワに対する改善効果以上に注目したいのが、シワ予防としてのボトックス施術です。
シワがくっきりと刻まれてからボトックス注射を行った場合、もちろんシワは目立たなくなるのですが、効果がなくなると再びシワがくっきり目立つようになってしまいます。またボトックスを行ってもなお、皮膚に深く刻まれたシワがうっすら見えてしまうケースも多いです。
理想とする状態までシワを改善するには、比較的短いスパンで施術を繰り返す必要があるだけでなく、ある程度長い期間を要することが多いのが実情です。
そのためシワがくっきりと刻まれてからではなく、そうなる前の予防として額ボトックスを取り入れる人もいます。表情が豊かなのは素敵なことではありますが、必要以上に前頭筋が収縮している場合には、額ボトックスで表情の癖をフラットに整え、若々しい肌をキープするというのも選択肢のひとつです。
滑らかな肌に見せる
額にシワが寄らなくなることで、肌がツルンと滑らかになるという効果も期待できます。
また皮膚の浅い層に細かく注入する「マイクロボトックス」という手法を取った場合には、皮脂腺や汗腺にアプローチすることも可能です。皮脂や汗の分泌を抑えることでテカリを抑え、毛穴の開きを改善する効果が期待できます。
こういった作用により、キメが整った若々しい印象の肌を目指せる点も、額ボトックスの嬉しい効果のひとつと言えるでしょう。
額ボトックスが向いている人
次のような特徴やお悩みのある人は、額ボトックスを検討してみると良いでしょう。
・額の横シワがくっきりと目立つ
・額の浅いシワを改善したい
・額にシワができる前に、またはより深くなる前に予防したい
・特に意味なく眉を持ち上げるような表情の癖がある
・額の皮膚のキメが乱れて見える
・額に汗をかきやすい
・皮脂による肌のテカリが目立つ
・額の見えるヘアスタイルが好き
額ボトックスのリスク

ボトックス注射の中でも額に打った場合特有のリスクとして「目が開きにくくなる」という症状があります。失敗談として聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
ここからは、額ボトックスと目の開きの関係や、リスクを避けるための方法について解説します。
額ボトックスで目が開きにくくなる理由
額ボトックスを打つ前に考慮すべきなのが、眼瞼下垂という症状です。

眼瞼下垂とは、まぶたの筋力低下やたるみによって上まぶたが持ち上がりにくくなる状態のことをいいます。後天性の場合は加齢に伴って発症するほか、コンタクトレンズを長期間使用していると発症しやすくなるとも言われており、意外にも若年層で眼瞼下垂の症状に悩む人も多いです。
眼瞼下垂の症状があると、まぶたの筋肉がうまく働かない分、無意識に額の前頭筋を使ってまぶたを上げるようになるケースがあります。そのような状態が続くことで額のシワが気になりやすいという特徴もあるのです。
しかし額のシワを改善したいからといって不用意にボトックス注射を行うと、それまで通り額の筋肉を使ってまぶたを上げることができなくなり、目が開きにくいと感じるようになってしまいます。
目が小さく見えたり眠そうな表情に見えたりといった審美面での困りごとだけでなく、まぶたが瞳を覆うことで視野が狭くなってしまうという機能面での問題が発生するケースもあるため、眼瞼下垂症状のある人への額ボトックスは慎重に判断する必要があります。
目が開きにくくなった場合の対処法
額ボトックスを行ったことで目が開きにくくなってしまったとしても、多くの場合はボトックスの作用が弱まるに連れて改善していきます。一般的にボトックス注射の持続期間は3~4ヶ月ほどとされており、その期間が過ぎれば元通りに筋肉を使えるようになるケースがほとんどですので、症状が軽度な場合は心配しすぎず時間が経つのを待つのもひとつの選択です。
ただし目の開きにくさが顕著な場合や、日常生活に不便を感じる場合には、施術を受けた医療機関に相談しましょう。クリニックによっては、目の開きをサポートする点眼薬を処方してもらえる場合もあるでしょう。当院でも後天性眼瞼下垂の治療薬であるアップニーク点眼液を取り扱っております。
アップニークミニ点眼液0.1%

参天製薬が販売する、日本初の後天性眼瞼下垂の治療薬です。目の開きに関わるミュラー筋に作用し、1日1回の点眼でまぶたの開きを改善します。額ボトックスでまぶたが開きにくくなった場合にも、医師の判断で使用が検討される場合があります。
ただし効果は一時的なもので、眼瞼下垂の根本的な改善にはつながりません。また症状が重度の場合やまぶたの皮膚たるみがある場合など、状態によっては効果が出にくい場合があるため注意が必要です。
保険診療の対象外となるため、全額自己負担となります。
価格:5,000円(税込)/30日分
リスク:ドライアイ、目の充血、痒み、刺激感など
禁忌:本剤の成分に対し過敏症の既往歴がある方
要注意:閉塞隅角緑内障の方、心血管系疾患や高血圧の既往がある方、まぶたに炎症がある方、妊娠中・授乳中の方
医師に相談する際には、今後の施術方針についても話し合っておくと良いでしょう。ボトックスを今後も続けていきたい場合は、次回以降の量や打ち方を調整する必要がありますし、別の施術で額のシワにアプローチする選択肢も考えられます。
目が開きにくくならない額ボトックスの打ち方
「眼瞼下垂の症状がある人は額ボトックスができないの?」というと、必ずしもそうではありません。眼瞼下垂の重症度にもよりますが、打ち方を工夫すれば施術可能なケースもあるのです。例えば次のような方法があります。
単位数を少なくする
必要以上にボトックスが効いてしまうことがないよう、量を調整することがまずは大切です。当院でも、初めて額ボトックスを受ける方や眼瞼下垂の特徴が見られる方に施術を行う場合には、単位数を少なめにするようご提案することがほとんどです。
薬剤の効きやすさにも個人差があるため、シワの深さや眼瞼下垂の状態が同程度の人に同じ単位数でボトックス注射を行っても、異なる結果となる場合もあります。
そのため当院ではまず少なめの単位数で施術を行い、ボトックスの効果が安定してくる2週間後くらいに状態を確認したうえで、必要であれば無料で追加施術(リタッチ)を行う場合もあります。こうすることで失敗を防ぎながら、その方にちょうどいい量を見つけていくことができるのです。
ただしクリニックによってはリタッチが別料金となる場合もありますので、事前によく確認しましょう。
マイクロボトックスで対応する
表情筋に対してしっかりボトックスを注入するのではなく、皮膚の浅い層に細かく注射する打ち方をマイクロボトックス(スキンボトックス)といいます。
マイクロボトックスは表情筋の動きをマイルドに抑制することに加え、毛穴を引き締めることで肌を滑らかに見せる作用も期待できます。
通常の打ち方と比べ表情筋そのものへの作用は弱く、くっきりとした横シワを目立たなくするのは難しいのですが、目の開きへの影響が少ないため眼瞼下垂症状のある方でも選択肢となる場合があります。
「目の開きを維持しながら、額のシワをある程度軽減させたい」という場合には、検討する価値があるでしょう。
他の手段も検討して!
眼瞼下垂の症状がある方は、ボトックスだけで額の横シワ改善を目指すのではなく、他の治療方法を検討するのもひとつの手段です。
例えばヒアルロン酸注入。額に丸みを出すために行うことが多いですが、ボリュームが出る分皮膚が持ち上がり、シワが目立たなくなることもあります。ボトックス注射とあわせて行うことで、ボトックスの量が少量で済む場合もあり、目の開きへの影響を抑えることができるでしょう。
もうひとつの方法が、いわゆる肌育注射と呼ばれる施術を行うことです。薬剤によっては皮膚のコラーゲン生成を促進することで小ジワの改善が目指せます。当院で提供している施術の中では、シルク肌注射が適しています。

これは当院オリジナルの肌育注射メニューで、主にプルリアルシリーズのポリヌクレオチド製剤を使用します。さらに薬剤にごく少量のボトックスを混ぜることも可能で、ポリヌクレオチドの小ジワ改善効果と、マイクロボトックスの効果を同時に得ることができます。
「額のシワ=ボトックス」というイメージを強く持たれている方もいますが、ぜひ別の施術にも目を向けてみてください。
額ボトックスの施術について
ボトックス注射はダウンタイムを伴う施術です。また施術中の痛みの心配など、初めて施術を受ける方は不安や疑問がたくさんあると思います。
ここからは、額ボトックスの施術や経過について詳しくご紹介します。
恵比寿アズクリニックの額ボトックス
当院のボトックス注射では、表情筋および広頸筋への施術には基本的に全てアラガン社のボトックスビスタを使用します。施術当日の流れは次の通りです。
※ボトックスビスタは国内で承認された医薬品ですが、額の表情ジワへの使用は国内承認の効能・効果には含まれていません。
①診察・カウンセリング
額のシワやまぶたの状態をチェックし、ボトックス注射の適応があるかを診断します。適応ありと診断された場合は、必要な薬剤量や金額、ダウンタイム、リスク等の詳細な説明を行い、内容にご納得いただけたら施術に移ります。
②麻酔
マイクロボトックスを行う場合には、痛み対策として麻酔クリームを塗布します。麻酔クリームにはリドカインなどの局所麻酔成分が含まれており、30分ほどで皮膚表面の感覚が鈍くなります。
一方、通常の手法でボトックス注射を行う場合には、基本的に麻酔は使用しません。痛みに弱い方、ご不安な方は事前にご相談ください。
③マーキング
施術する部分に目印をつけます。麻酔を行った場合には、麻酔クリームを取り除いてから注射する範囲に印をつけ、施術スタートです。
④注射

注射器でボトックス製剤を注入していきます。
痛みや内出血を最小限に留めるため、当院ではできるだけ細い注射針を使用し、手早く施術を進めるよう心がけております。ただし、それでも注射針が刺さった時のチクチクとした刺激や、薬剤が注入されたときの滲みるような痛みを感じることがあります。
⑤施術終了
注入が完了したら、必要に応じて止血や冷却などの処置を行い施術終了となります。施術直後は赤みや熱感が出る場合がありますが、軽度であれば当日中に解消ことがほとんどです。
施術時間は組み合わせや施術範囲などによって異なりますが、額のみの場合は基本的に10分ほどで注入が完了します。
なお当院では、施術日の約2週間後に必ず再診に来ていただいております。効果の出方や違和感の有無などを確認し、必要に応じてボトックスの追加を行うこともあります。
額ボトックスのダウンタイム
額ボトックスのダウンタイムとして起こり得るのが内出血です。程度により数日~10日ほど目立つことがあるため、大切な予定を控えているタイミングでの施術は避けるのが無難でしょう。特にマイクロボトックスは注射針を刺す範囲や回数が通常より多い分、内出血が目立ってしまうこともあるため注意しましょう。
ただし内出血が出たとしても、医師の判断により問題がなければ当日からメイクで隠すことができますし、額の場合は前髪で隠す方法もあります。
額ボトックス施術後の注意点
ボトックス製剤は熱に弱い性質があるため、施術後数日は体温を高めるような行動(湯船につかっての入浴、激しい運動、過度な飲酒、サウナなど)を控える必要があります。施術後の赤みや腫れ感を助長してしまう場合もあるため、医師の指示に従うようにしましょう。
また施術部への強いマッサージも控えてください。薬剤の効果が安定する前に患部を揉んだり圧迫したりすると、薬剤の効果が隣り合った筋肉にまで波及し、思ってもみない変化が起きる恐れがあります。ご自身でのセルフマッサージのほか、エステなども2週間ほど控えるよう当院ではご案内しております。
額ボトックスの持続期間
額ボトックスを行った後の経過については個人差がありますが、概ね1~2週間で効果が安定し、3~4ヶ月ほど持続するケースが多いです。効果が切れてくると徐々に筋肉の動きが元に戻り始め、やがて完全に元通りになるイメージですね。
ただし額は表情筋の中でもよく動かす部分のひとつなので、人によっては他の部位より効果の持続期間が短く感じる場合もあります。
推奨頻度も、目的・薬剤量・シワの状態などにより異なりますが、当院では3~4ヶ月ごとの施術を提案することが多いです。
まとめ
額は顔の中でも目立つパーツなだけに、シワが深くなると気になってしまうものです。額のシワが目立たなくなると髪型の自由度も上がり、「メイクやおしゃれがより楽しくなった」というお声をいただくこともあります。
一方で「目が開きにくくなった」という失敗談も多く聞かれる部位でもあるため、眼瞼下垂の有無やシワの状態を総合的に判断し、慎重に施術を進める必要があります。
「額ボトックス」とひとくちに言っても単位数や手法によって得られる効果が異なるため、経験豊富で解剖学の知見が深い医師と相談しながら、ご自身に合ったやり方を見つけてくださいね。
