【医師監修】妊娠初期は肌荒れする?改善に向けたスキンケア

妊娠中、これまでになかったような肌トラブルに見舞われて戸惑う人は多いものです。普段の基礎化粧品が急に肌に合わなくなってしまったり、シミ・そばかすができてしまったり…「ずっとこのままだったらどうしよう」と思い悩む妊婦さんもいるかもしれません。
妊娠中、身体にさまざまな変化が現れることは普通のことですので、まずは安心してください。落ち着いて対策を行うことで、妊娠中の肌荒れと上手につきあっていくことが可能です。
今回は「妊娠中の肌荒れがいつまで続くのか」といった肌トラブルのメカニズムや、おすすめのスキンケア方法についてご紹介します。

この記事のポイント

  • 妊娠中の3大肌トラブル
  • 妊娠中に肌荒れが起きやすい理由
  • 妊娠中にできる肌荒れ対策

目次

妊娠中の3大肌トラブル

妊娠中、身体の中は大きく変化しています。それに合わせて、肌にもこれまで経験したことのない症状が現れることも少なくありません。特に初めて妊娠を経験したという方は、その変化の大きさに戸惑ってしまいますよね。
まずは妊娠中の肌にどんな変化が起こり得るのか把握しておきましょう。

妊娠中の肌トラブル① 乾燥・かゆみ

もともと乾燥肌の人は、乾燥が悪化してガサガサした状態になることがあります。
顔の肌だけでなく、お腹や脛、腕などがカサついて痒くなったり、ピリピリと痛んだりすることも。

妊娠中の肌トラブル② ニキビ・吹き出物

皮脂が過剰に分泌され、口周りや額を中心にニキビや吹き出物ができやすくなります。
皮膚科に行っても、妊娠中は処方できる薬に制限があり、劇的な改善はなかなか望めません。
自力で治そうとあれこれ試すうちに、さらに悪化させてしまうなんてことも。

妊娠中の肌トラブル③ シミ・そばかす

今まで気になったことがなかったのに、急にシミやそばかすができてしまう場合もあります。妊娠中は美容医療の施術なども基本的に受けられないため、即時的な改善は見込めません。

妊娠中の肌荒れの原因

妊娠中の肌荒れに焦らず対処するために、原因を理解しておくことは重要です。
ここでは5つの大きな原因をご紹介しますので、当てはまるものがないか確認しましょう。

ホルモンバランスの変化

妊娠中の肌荒れにかかわる最も大きな要因です。
妊娠すると絨毛性ゴナドトロピン(hCG)というホルモンが分泌されるようになります。妊娠の成立に欠かせないホルモンですが、つわりを引き起こす原因ともなります。このhCGは妊娠812週ごろに最も多く分泌され、その後急激に減少していきます。
また妊娠の維持に必要なプロゲステロンエストロゲンもどんどん増えていき、妊娠後期にピークを迎えます。

このように妊娠中はホルモンバランスが急激に変化しています。
中でもプロゲステロンには皮脂の分泌やメラニンの生成を促す働きがあるため、ニキビやシミ・そばかすといった肌トラブルが起きやすくなります。
特に妊娠初期にはつわりの影響も受けますので、肌が不安定な状態になる方が多いのです。

精神的ストレス

妊娠は喜ばしいものではありますが、同時に心理的なプレッシャーも大きくなりがちです。
ただでさえホルモンバランスの急激な変化により気持ちが不安定になりやすいのに、「自分ひとりの身体ではない」という責任感から、ストレスを感じることも多いでしょう。
そのような精神的負荷が肌荒れを悪化させる一因となっているかもしれません。
できるだけリラックスできる時間を作ったり、不安や悩みを誰かに相談したりと、意識的にストレスを発散させるようこころがけてみてください。

またホルモンバランスの変化によって起こる肌荒れそのものがストレスとなる場合もあると思います。
これまでになかった変化に不安を抱えるのは仕方のないことですが、「妊娠中は肌荒れするもの」とある程度楽観的に捉えることで、ストレスを減らせるかもしれません。

睡眠不足

妊娠中は、つわりやストレスの影響で睡眠不足になりがちです。また妊娠中に分泌が増えるプロゲステロンには体温を上げる作用があり、夜の寝つきに悪影響を与えることがあります。
睡眠は肌のコンディションと深く関わっていますので、睡眠不足が肌荒れを引き起こしてしまうのです。

・負荷をかけない程度の軽い運動を取り入れる
・就寝の1~2時間前にぬるめのお風呂に入る
・寝る前1時間はスマホやパソコンを見ない

これらの対策を行ってみてください。

自分でいろいろ試してみても寝つきが悪い日が続いてしまう場合には、無理せず医師に相談してみましょう。医師が必要と判断した場合には、妊娠中でも服用できる睡眠薬を処方してもらえることもあります。ひとりで悩みすぎないでくださいね。

栄養の偏り

妊娠中はつわりの影響で食の好みが変化し、栄養が偏ってしまう人もいます。ご飯の炊ける匂いが苦手になったり、ジャンクフードばかり食べたくなったり、酸っぱいものしか受け付けなくなったり…そういった食生活の偏りが肌の調子に影響し、肌荒れが起きてしまうのです。
これもある程度仕方のないことですが、できるだけバランスよく栄養を摂取できると良いですね。特にビタミンCビタミンEなどのビタミン類は肌の調子を整えるのに欠かせない栄養素ですので、調子の良い日は緑黄色野菜やナッツ類を食べておくと良いでしょう。
また妊娠中は羊水を作るために大量の水を必要とするようになります。水分が足りていないと、乾燥や皮脂の過剰分泌による肌トラブルが起きやすくなりますので、水分補給を意識的に行うようにしてください。

便秘

ストレスやホルモンバランスの変化による便秘も、妊娠中によくみられます。便秘によって体内に老廃物がたまり、肌荒れにつながることも。
つわりの影響で難しい場合もあると思いますが、発酵食品や食物繊維が豊富な根菜類などを意識して食べるようにしてみてください。水分の摂取も大切ですよ。

関連記事:妊婦のお悩み「便秘」!薬に頼らない解消法4選
https://az-clinic.tokyo/articles/pregnancy-constipation/

産婦人科では、妊娠中でも服用可能な便秘薬を処方してもらえる場合があります。なかなか改善しない場合には、無理せず医師に相談してください。

妊娠中の肌荒れはいつまで続く?

妊娠中にひどい肌荒れが起きると、いつまで続くのかと不安になってしまいますよね。
最も肌荒れが起きやすい時期は、ホルモンバランスの変化が大きい妊娠初期。その後はある程度変化が緩やかになり、身体が妊婦モードに慣れてくることもあって、症状が落ち着く方が多いです。妊娠初期は「そういうものだ」として様子見をしても良いでしょう。
妊娠中期~後期にかけては美肌のホルモンと言われるエストロゲンの分泌も増えていきますので、むしろ普段以上に肌の調子が良くなる人もいます。

産後は妊娠前の肌質に戻る方も、今までと全く違う肌質になる方もいます。産後になかなか肌の調子が戻らないという方は、妊娠中には受けられなかった美容皮膚科での施術を検討してみても良いでしょう。公式YouTubeで産後におすすめの施術を紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。

恵比寿アズクリニック公式YouTube

妊娠中の肌荒れが気になるときのスキンケア

「妊娠初期は肌が荒れるもの」と理解していても、やっぱり辛いもの。そんなときは毎日のスキンケアが改善に役立ちます。
妊娠中は肌が敏感な状態ですので、気を付けておきたいポイントをまとめました。

紫外線対策を徹底する

肌荒れを悪化させる大きな要因のひとつが紫外線です。妊娠中は肌荒れを気にしてメイクを控える方も多いですが、日焼け止めクリームだけは塗っておくと良いでしょう。
妊娠中は普段以上に肌が敏感になることがありますので、日焼け止めはノンケミカル(紫外線吸収剤不使用)で低刺激なものがおすすめです。また保湿成分が配合されたものであれば、乾燥予防にもなり一石二鳥ですね。
あまりに肌荒れがひどく、日焼け止めをどうしても塗れないという場合には、日傘や帽子、UVカットウェアなどを活用してみてください。

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肌を洗いすぎない

クレンジングや洗顔の際にゴシゴシと強く洗うのは禁物です。また、皮脂の落としすぎも肌荒れを悪化させる原因になります。洗浄力の強いアイテムはできるだけ使わず、やさしく洗うことを心がけましょう。
クレンジング料は洗浄力がマイルドなミルクタイプや水性ジェルタイプがおすすめです。サッと落とせるように、あらかじめメイクを軽めにしておくことも検討しましょう。

保湿を徹底する

肌荒れは、肌内部の水分量と皮脂量のバランスが崩れて発生することが多いです。化粧水の後には必ず乳液やクリームを使って保湿を行い、水分を肌に閉じ込めましょう。
また顔だけでなく全身保湿を徹底することで、かゆみのストレスを軽減させることができます。夏場であっても紫外線やクーラーの影響で乾燥しているものですので、季節を問わずボディクリームを塗るのがオススメです。

関連記事:顔・身体別!乾燥肌さんにオススメのクリーム6
https://az-clinic.tokyo/articles/dry-skin-cream/

妊娠中の化粧品選びで気を付けるべきこと

化粧品選びの際にも、妊娠中特有の注意点があります。妊娠前に気に入って使っていたものでも、急に肌に合わなくなってしまうことがあるのです。ポイントをおさえておきましょう。

匂いの強いアイテムは避ける

毎日使用するアイテムは、あまり香りのきつくないものを選ぶのが安心です。選んだときは良い香りだと思っても、つわりによって突然受け付けなくなってしまうことがあります。
また自分にとっては落ち着く香りでも、産婦人科に行った時などに他の妊婦さんのつわりを悪化させてしまうこともあります。どうしても香りを楽しみたいときは、アロマバスやアロマポットなど自宅でできる範囲に留めましょう。

低刺激のアイテムを選ぶ

妊娠中は普段以上に肌が敏感になっています。ちょっとした刺激が原因となって肌荒れを起こすことがありますので、低刺激なアイテムを選ぶに越したことはありません。
特にアルコール(エタノール)は肌を乾燥させやすい成分ですので、アルコールフリーのものが安心です。

美容成分たっぷりのアイテムにも要注意

普段は美肌のサポートをしてくれる美容成分も、濃度や相性によっては刺激となる場合があります。妊娠中は美容成分をたっぷり配合した高機能化粧品よりも、できるだけシンプルな成分構成のアイテムを選ぶのがオススメです。
この成分は肌に合うかな?と不安に思ったら、本品を購入する前にサンプルやトライアルを試すと良いですよ。

まとめ

妊娠中の肌荒れは、普段のケアだけでは対応できない場合もあります。過度に不安がる必要はありませんので、無理せず自分に合った方法でお肌を労わってあげてください。
また、ひどい肌荒れが起きた場合には早めに医療機関で相談することも大切です。妊娠中に自己判断で間違ったケアをしてしまうと、肌荒れの悪化を招くこともあります。ひとりで抱え込まずに医師の力を頼ってくださいね。

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記事監修

奥野彰子/医師

奥野 彰子

医師・恵比寿アズクリニック院長

  • 東京慈恵会医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院にて形成外科に入局。
  • 2008年より美容皮膚科 院長を15年勤める。
  • 2023年5月 恵比寿アズクリニック院長に就任。

詳細プロフィール

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