シミやシワほどメジャーな肌トラブルではないものの、意外と多くの人が悩んでいるのが「赤ら顔」。改善が難しいことに加え再発もしやすいため、長年の悩みの種となっている人も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな「赤ら顔」の効果的な改善方法について解説します。皮膚科での保険治療から、美容皮膚科での自由診療、スキンケアまで詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
この記事のポイント
- 赤ら顔の原因がわかる
- 美容皮膚科での赤ら顔治療がわかる
- 赤ら顔を改善するセルフケアがわかる
赤ら顔の原因
「赤ら顔」とは「肌が赤くなる症状」全般のことをいい、その原因は多岐にわたります。さまざまな要因が重なって起きているという点が、赤ら顔の改善が難しい理由のひとつなのです。
まずは赤ら顔の種類や原因について解説します。
皮膚疾患が原因の赤ら顔
赤ら顔の多くは、毛細血管や皮脂腺の問題に起因しています。専門医による適切な治療を受けることで、症状の改善が期待できます。気になる症状があれば、迷わず医療機関を受診しましょう。
よくある疾患の例を紹介します。
毛細血管拡張症
頬の毛細血管が増加したり太くなったりすることで、顔が赤く見える状態です。肌が正常の状態なのか疾患かの判断が難しい場合もあります。赤ら顔に悩む多くの方が、この疾患に該当します。
脂漏性皮膚炎
皮脂の過剰な分泌によって肌が炎症を起こし、かぶれている状態です。マラセチア菌というカビの一種が関与しているとされており、赤みとともにかゆみを感じることもあります。
酒さ(皮脂腺増殖症)
名前に「酒」が含まれていますが、飲酒とは関連がありません。皮脂腺が通常以上に増加することで発症する疾患です。特に皮脂腺が多いTゾーンから赤みが始まり、徐々に顔全体に広がることが特徴です。進行すると、肌にブツブツや凸凹が現れることもあります。
明確な原因はわかっていませんが、毛包虫(ニキビダニ)やニキビ菌が関与しているとも言われています。
肌トラブルが引き起こす赤ら顔
疾患以外で赤ら顔になる方は、もともとの肌質や血行不良、スキンケア方法に原因があるかもしれません。状況によっては皮膚科での治療が推奨されることもあります。
まずは自分の肌状態を正しく理解し、日々のケアを見直してみましょう。
ほてりが原因の赤ら顔
肌のキメが粗く、毛穴が目立つ方は、赤ら顔になりやすい傾向があります。
毛穴が開いている状態が続くと、水分蒸発が早まり、ほてりやすくなります。特に、エアコンの効いた室内にいると赤ら顔になりやすい方は、この点に注意が必要です。
このタイプの赤ら顔には、角質ケアや酵素洗顔が効果的。その後に水分保持力の高い美容液を使用し、肌のキメを整えることが改善への鍵となります。
ニキビやニキビ跡による赤ら顔
ニキビが強い炎症を起こすと、赤みが目立つようになり、その内部では血流が滞り、細胞にもダメージがおよびます。炎症が治まった後も、肌内部のうっ血が続くため、ニキビが跡として残りやすい状態になります。
また繰り返しニキビができると、同じ場所で炎症が起きることで赤みがなかなか消えないことがあります。
広範囲にわたるニキビやニキビ跡の赤みが原因となるケースでは、セルフケアだけでは完全には治りにくい場合がありますので、皮膚科や美容皮膚科の受診が推奨されます。
敏感肌が原因で起きる赤ら顔
極端な乾燥が原因で肌の角層が剥がれ、粉を吹いたような状態になると、肌は過敏状態に陥ります。これによって、頬が赤くなることがあります。チリチリとした痛みやかゆみ、かぶれが生じる場合は、症状が悪化する前に病院で相談しましょう。
比較的軽度でも、乾燥による不安定な肌状態が続く場合は、敏感肌向けのスキンケア製品やぬるま湯での洗顔といった、刺激の少ないケアで様子を見るようにしましょう。
美容オイルを使用して肌を保護することも効果的です。
過敏状態で赤ら顔になっている場合、乾燥が改善すると症状が軽減されることもあるので、ぜひ試してみてください。
血行不良による赤ら顔
血行不良も、赤ら顔を引き起こす原因の一つです。全身の血流をスムーズにするためには、適度な運動や半身浴などを日常的に取り入れることが有効です。
デスクワークをしている人は、休憩時間にストレッチを行ったり、毎日しっかり歩いたりして、こまめに体を動かし血行を促進することが大切です。
他にもこんな要因が…
赤ら顔の原因は皮膚の不調だけにとどまりません。
お酒の飲みすぎからくる場合や、あがり症(社交不安障害)など精神的な要因が絡むケース、心臓疾患が隠れている場合も。
このようなケースでは、どんなに皮膚科・美容皮膚科で治療を受けても改善が難しく、必要に応じて適切な診療科で診察を受ける必要が出てきます。
・赤み以外の自覚症状がある
・以前は赤ら顔ではなかったのに、突然気になるようになった
・特定の条件下でのみ赤みが発生する
・いくら肌にアプローチしても改善が見られない
このような場合には単なる肌トラブルとして放置せず、医療機関で診察を受けることをお勧めします。
皮膚科での赤ら顔治療
皮膚疾患を原因とする赤ら顔は、保険診療での治療が可能です。そのため、赤ら顔が気になったらまず皮膚科を受診してみることをお勧めします。保険診療で改善が見込める症状と、治療内容について紹介します。
毛細血管拡張症
毛細血管拡張症による赤みを保険診療で治療する際は、Vビームというレーザーの一種が使用されることが多いです。
Vビームは595nmの波長を持ち、血管に起因する肌トラブル全般の改善に役立ちます。毛細血管拡張症だけでなく、赤アザとも呼ばれる乳児血管腫や単純性血管腫も保険適用で治療が可能です。
ただし、施術後に赤みや腫れなどのダウンタイムが発生すること、そして色素沈着などの副作用が出る場合もあることは知っておきましょう。
脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎は、主に医薬品で治療を進めます。
外用薬としては、原因菌となるマラセチア菌の増殖を抑える抗真菌薬や、炎症を抑えるステロイド。内服薬は、痒みを抑える抗ヒスタミン薬等が使用されます。
酒さ
酒さの保険治療には、ロゼックスゲルという外用薬が使用されることが多いです。
これはメトロニダゾールを主成分とする軟膏で抗炎症作用や抗菌作用があります。酒さの原因と言われる毛包虫やニキビ菌の増殖を抑える効果が期待でき、酒さ治療におけるファーストチョイスとされている医薬品です。
ただし、肌の乾燥や痒みなどの副作用が起こる場合がある点に注意が必要です。
また妊娠中・授乳中は使用できません。
ニキビ
炎症を伴うニキビも、保険診療で治療ができる疾患のひとつで、主に医薬品による治療が行われます。治療薬としては、アダパレン、過酸化ベンゾイルなどの外用薬、抗生物質、ビタミン剤、漢方薬などの内服薬があり、体質や症状に合わせて処方されます。
ただし保険適用になるのは炎症が起きているニキビのみで、炎症後に残ったニキビ跡の赤みは保険診療では改善できません。ニキビ跡になってしまった場合は、美容皮膚科で治療を受けましょう。
美容皮膚科での赤ら顔治療
保険診療で効果が得られなかった場合や、軟膏が肌に合わないといった場合、そもそも保険診療が適用されない症状の場合などは、美容皮膚科を受診してみましょう。最新技術を用いた治療により、確実な改善を目指すことができますよ。
恵比寿アズクリニックで受けられる治療を例に、おすすめの治療法をご紹介します。
フォトフェイシャル
フォトフェイシャルは、IPL(Intense Pulsed Light)という特殊な光を利用した治療法で、肌の深層にある赤ら顔の原因にアクセスし、肌色を均一に整えることができます。
恵比寿アズクリニックで使用している「ステラM22」というマシンは、フィルターを変えることで特定の光の波長を強めることができ、590nmや690nmの波長フィルターを使えばより効果的に「赤み」にアプローチすることができます。
施術時間は10~20分程度と短く、ダウンタイムもほとんどありません。
ポテンツァ
ポテンツァは、高周波(RF)のエネルギーを活用した美容施術です。チップをカスタマイズすることで、さまざまな肌悩みに応じた治療が可能となります。
中でもS-25チップは、毛細血管拡張型の赤ら顔や酒さ改善に効果的。極細の針を肌に刺し、針先からRFを照射することで毛細血管に働きかけます。
また、ニキビ跡の赤みもポテンツァでの改善が見込めます。Sチップ・CPチップとも効果が得られますが、いわゆるクレータータイプのデコボコしたニキビ跡を伴う場合は、CPチップを使って治療することが多いです。
CPチップにはドラッグデリバリーシステムが搭載されており、薬剤導入を得意としています。赤みが気になる肌には、マックームという薬剤を入れ込むのがオススメです。
Sチップ・CPチップとも肌に針を刺す治療になるため、痛みやダウンタイムが伴います。しかしRFの作用で出血が抑えられているため、赤みや熱感が出ても数日~1週間程度でおさまることが多いです。
特にSチップは比較的浅い層にアプローチするため、直後の赤みも気にならないことが多いです。
シルク肌注射(サーモン注射)
シルク肌注射は、サーモンから抽出される「ポリヌクレオチド」を主成分とする製剤に、ごく少量のボトックスを組み合わせた、アズクリニックオリジナルの美肌注射です。使用製剤は、プルリアルシルクまたはプルリアルデンシファイからお選びいただけます。
ポリヌクレオチドには、肌の自己再生能力を活性化させる作用があり、肌質改善や若返り効果が期待できます。
肌の赤みだけでなく、毛穴の開きや乾燥による小じわなど幅広い肌悩みをまとめて改善できるため、非常に人気の高い施術です。
施術後は腫れ感や赤みが出ることがありますが、数時間~数日程度でおさまります。また、稀に内出血が起こる場合もありますが、翌日からはメイクで隠すことが可能です。
赤ら顔を改善するセルフケア
皮膚科や美容皮膚科での治療と並行して、生活習慣やスキンケア方法も見直してみましょう。赤みは後戻りしやすい悩みですので、毎日のケアを積み重ねることがとても大切なのです。
できるところからから実践してみてくださいね。
悪化要因を避ける
まず意識すべきなのが、赤ら顔を悪化させる要因を取り除くことです。具体的には次のものがあります。
①紫外線
紫外線は肌の炎症や乾燥を引き起こし、赤ら顔を助長する要因となります。日焼け止めはもちろん、日傘や帽子なども活用し、紫外線対策を徹底しましょう。
②寒暖差
夏の暑い屋外から急にクーラーの効いた屋内に入ったときなどに赤みが増すという人も多いです。こういった急激な寒暖差を避けるのは難しいものですが、例えば自宅内だけでも、できるだけ各部屋の室温を一定に保つなど心がけてみると良いでしょう。
とくに浴室と脱衣所は寒暖差が起こりやすいため要注意です。
③飲酒
アルコールを摂取すると体温が上昇するため、血管が拡張することで赤みが悪化します。また、アルコールを分解する酵素の働きが弱い人などは、分解過程で生じるアセトアルデヒドが体内に溜まりやすく、その影響で赤みが強く出ることもあります。
④喫煙
喫煙によって体内に生じる活性酸素が炎症を助長し、赤ら顔の悪化につながります。またシミ・シワなどの原因にもなるため、赤みに限らずあらゆる肌トラブルを避けるためにも、喫煙は控えるべきと言えます。
⑤ストレス
ストレスも活性酸素の発生につながるため、赤ら顔の悪化要因と言えます。現代社会でストレスなく過ごすことは難しいのですが、できるだけリラックスできる時間を持つことが大切ですよ。
⑥蒸れ
夏場の汗による蒸れも、赤ら顔悪化の一因です。汗はできるだけこまめに拭き取り、肌が蒸れないよう気をつけましょう。
またマスクの着用も顔の蒸れにつながります。状況によりマスクが不可欠という場合もあると思いますが、通気性の良いマスクを使うなど工夫してみてください。
スキンケアは保湿重視
次に意識したいのが、低刺激かつ保湿力の高いスキンケアを徹底することです。
赤みが出やすいということは、肌のバリア機能が低下しているサイン。乾燥はバリア機能の低下を招くため、朝晩のスキンケアでは高保湿の化粧水やクリームを使い、うるおいをキープしましょう。
日中も空調や紫外線などの影響で肌は乾燥しがち。スプレータイプの化粧水などを使って、常に肌が乾燥しすぎないようケアしてくださいね。
ただし、保湿成分として有名なヘパリン類似物質は、赤みには逆効果の場合があるため避けましょう。ヘパリン類似物質には血行を促進する作用があり、赤ら顔を助長してしまうのです。
セラミド、ヒアルロン酸、ペプチドなどの保湿成分がオススメです。
レカルカ ブライトリーモイストシャインミスト
出典:レカルカ公式サイト
価格:税込価格:7,920/120ml
メイクの上からも使えるスプレータイプの化粧水で、日中の保湿ケアにぴったりです。
ペプチドに加え、人が本来持っている成長因子の一種EGFが配合されており、保湿と同時にエイジングケアも叶います。ツボクサエキス等の抗炎症成分も配合されているため、肌が荒れがちな方も使いやすいのが嬉しいポイントです。
※恵比寿アズクリニックで取り扱っております
赤みに効果的な成分を取り入れる
より積極的に赤ら顔改善を目指すなら、アゼライン酸配合のアイテムを取り入れるのもオススメ。アゼライン酸は、アメリカではニキビや酒さの治療薬として承認されている成分です。日本では医薬品としての承認はおりていないものの、自由診療の範囲で処方されることがあります。
おすすめアイテム|ジャンマリーニ ロザリーブフェイスローション
出典:ジャンマリーニ スキンリサーチ公式サイト
価格:18,480円(税込)/30g
赤み改善に有効とされるアゼライン酸5%配合。また保湿や抗炎症作用に優れたテトラペプチド14も含まれており、複合的な要因で発生する赤みに対し効果的にアプローチすることができます。
肌荒れの改善も期待できるため、肌の基礎力が落ちて敏感な状態になってしまった方や、赤ら顔・酒さに悩まされている方には一度使ってみてほしいアイテムです。
※恵比寿アズクリニックで取扱っております
まとめ
赤ら顔は、適切なケアや治療によって改善することが可能です。大切なのは、まず自分自身の肌に優しく接し、現在の状態を正確に把握することです。
焦ることなく、諦めずにじっくりと肌と向き合い、コツコツとケアを続けることで、赤ら顔を克服することができるはず。美しい肌への第一歩を踏み出しましょう。