「界面活性剤=悪」はウソ!?正しく知って賢く化粧品を選ぼう

「界面活性剤」と聞くと「科学的に作られた、肌に悪いもの」というイメージを持っている人が少なくないと思います。しかし、すべての界面活性剤が悪いものではありません。
言葉の持つイメージだけにとらわれず、知識を深めて適切なものを選び取ることが大切です。そこで今回は、化粧品に使用される界面活性剤の役割や、肌に優しい化粧品を選ぶポイントについてご紹介します。

この記事のポイント

  • 化粧品に界面活性剤が配合される目的がわかる
  • 化粧品の界面活性剤で起こりうる肌トラブルがわかる
  • 化粧品の界面活性剤と上手に付き合う方法がわかる

目次

化粧品に配合される界面活性剤の役割

界面活性剤は、洗顔料・美容液・クリームなどさまざまな商品に使われています。それだけなくてはならない成分なのです。まずは、なぜそんなにも幅広いアイテムに界面活性剤が使用されるのか、その役割を理解しておきましょう。

役割①汚れを落とす

クレンジング、洗顔料、シャンプーなど「落とすケア」のアイテムには、界面活性剤がよく使用されます。水だけでは落とせない汚れをしっかり除去するためです。
界面活性剤には、肌表面の油分や汚れを包み込み、水で洗い流しやすくする働きがあります。
余分な皮脂や角質、メイク汚れなどは肌トラブルにつながるもの。界面活性剤を配合した洗浄アイテムは、それらの汚れをスッキリと、しかも短時間で落とすことができるのです。
クレンジングや洗顔を長時間行えば、それだけ肌への摩擦が増え、シミ・たるみなどの原因となります。手早く汚れを落とせる界面活性剤は、そういったリスクの軽減に役立ちます。

役割②品質を安定させる

乳液やクリームなど油分の多いアイテムに界面活性剤を配合すると、水と油が分離することなく品質を安定させることができるため、非常に重宝されています。
これは、界面活性剤の「乳化作用」によるもの。水と油は本来混ざり合うことがないため、同じ容器に入れると2層に分離しますよね。この層の境目のことを「界面」と呼びます。界面活性剤はこの境目をなくし、成分同士を均一に混ぜ合わせる性質があるのです。
これにより、使用時にベタつかない、なめらかなテクスチャーを実現しています。

役割③肌なじみを良くする

界面活性剤には、美容成分が肌に浸透しやすくするようサポートする働きもあります。化粧水や美容液などに配合されるのは、この作用を目的としていることが多いです。
どんなに良い成分も、肌に浸透せず表面に留まってしまっては効果を発揮することができません。
界面活性剤は、化粧品に含まれる成分を肌表面に広がりやすくし、さらに肌の水分がもつ表面張力を低下させることで、美容成分が角質層に浸透しやすくしてくれます。これにより成分をしっかり肌内部に届けることができ、スキンケア効率の向上につながるのです。

界面活性剤配合の化粧品を使うリスク

界面活性剤には幅広い働きがあり、化粧品になくてはならない成分ということがおわかりいただけたと思います。
しかしもちろんデメリットがないわけではありません。ここでは界面活性剤のリスク面についてご紹介します。

界面活性剤の種類

界面活性剤には非常に多くの種類があります。
まずは天然由来の界面活性剤。もともと自然界の中に存在する物質を活用したもので、大豆や卵黄に含まれるレシチンや、乳製品に含まれるガゼインなどがそれにあたります。肌への刺激が少ない反面、汚れ落ちが弱い、コストが高い、保存期間が短いなどの点がデメリットです。

それに対し、人工的に改良が加えられたものを「合成界面活性剤」と呼びます。その中でも、石けん系・アミノ酸系・脂肪酸エステル系など天然由来の原料を使用したものは「天然系合成界面活性剤」、高級アルコール系・石油系などは「石油系合成界面活性剤」と呼び分けられます。

天然系合成界面活性剤に比べ、石油系合成界面活性剤は大量生産できるため安定的に安く手に入り、さらに高い洗浄力を得ることができます。そのため製品価格の抑制や、スッキリした使用感を目的に配合されることが多いです。
ただし成分が肌に残留しやすいため、これ自体が刺激となり、肌トラブルにつながることも。「界面活性剤は肌に悪い」というのは、この「石油系合成界面活性剤」を指して言われることが多いのです。

もちろん石油系合成界面活性剤を配合しているからといって、必ずしも肌に悪いわけではありません。濃度や他成分とのバランス、使用者の肌質などにより、肌への影響は変わります。大切なのは、どんなリスクがあるかを知り、肌に合ったアイテムを選ぶことですよ。
ここからは、石油系合成界面活性剤を使うことで起こりうる肌トラブルについて触れていきます。

肌の乾燥につながることがある

石油系合成界面活性剤は洗浄力が強く、クレンジングや洗顔に配合されていると、肌に必要な皮脂や角質まで洗い流してしまうことがあります。皮脂や角質層は、肌内部の水分を保つとともに外部刺激から守るバリアの役割を果たしており、過度に洗い流すとバリア機能の低下につながります。
このように、洗浄力が強すぎる洗浄アイテムを使い続けることで慢性的に肌が乾燥するようになってしまうのです。
肌の乾燥は、カサつきやキメの乱れ、肌荒れなどあらゆる肌トラブルの温床。適切な洗浄力のアイテムを選ぶことが大切です。

一方、化粧水や乳液はそもそも保湿を目的としたアイテムのため、どの種類の界面活性剤が配合されていたとしても、乾燥のリスクはそれほど高くありません。肌との相性が良ければ、そこまで過剰に避ける必要はないでしょう。

肌の常在菌バランスを崩すことがある

石油系合成界面活性剤は殺菌力も高く、肌の常在菌のバランスを崩してしまうことがあります。
「殺菌」と聞くと良いイメージを持たれる人も多いと思いますが、実は肌には「美肌菌」とも呼ばれる表皮ブドウ球菌など「良い菌」も存在しています。さらに言えば、ニキビの原因となるアクネ菌も、普段は肌を弱酸性に保つ働きをすることがわかっています。
このように数多くの菌が肌には常駐していて、絶妙なバランスで肌の健康が保たれているのです。
このバランスが崩されると肌を健康に保つ力が弱まり、肌荒れにつながったり、慢性的な敏感肌に陥ったりすることも。
こういった意味でも、過度な洗浄力はマイナスと言えます。

アレルギー反応を引き起こすことがある

石油系合成界面活性剤に限った話ではありませんが、肌に合わず炎症を起こしたり、アレルギー反応が発生したりするリスクもあります。特定のアイテムを使っていて、炎症・かゆみ・かぶれなどが続く場合には、配合成分が肌に合っていないのかもしれません。
さらに石油系合成界面活性剤で厄介なのが、肌に残りやすいという点です。長時間肌に触れることで、影響が強く出てしまうことがあります。
特定の製品を使って肌荒れが続く場合や、強い炎症や湿疹が発生した場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。

化粧品の界面活性剤と上手に付き合うコツ

界面活性剤は、配合していない化粧品を探すのが難しいくらい有用性の高い成分です。頭ごなしに「悪いもの」と決めつけず、上手に付き合っていきましょう。

肌質に合わせて界面活性剤を選ぶ

化粧品を選ぶ際には、肌質との相性を考えることが大切です。
例えば、刺激となりうる石油系合成界面活性剤も、脂性肌やニキビ肌の人とは相性が良いことがあります。過剰に分泌された皮脂をしっかり洗い流し、ニキビのできにくい環境に整えることができるからです。
一方乾燥肌や敏感肌の人は、より低刺激なアミノ酸系の合成界面活性剤や、天然界面活性剤を選ぶのが無難です。製品の表示に「合成界面活性剤フリー」「石油系界面活性剤フリー」などと記載があるものを選ぶと良いでしょう。

またクレンジングの場合は、メイクの濃さによっても必要な洗浄力の強さが変わってきます。低刺激性にこだわるあまり、濃いメイクを洗浄力がマイルドなアイテムで落とそうとすると、なかなか落ちずに摩擦が増えたり、汚れが落としきれずに肌荒れにつながったりと、かえって悪影響となることが多いです。
ポイントメイクなど濃い部分だけ洗浄力の高いリムーバーで落とす、洗浄力がマイルドでも落とせるよう「お湯で落ちる」系のメイクアイテムを使うなど、ご自身のスタイルに合わせて工夫してみてください。

保湿を徹底して肌のバリア機能を保つ

界面活性剤配合の洗浄アイテムを使うと、どうしても肌は一時的に乾燥するもの。洗顔後にすぐ保湿を行い、バリア機能を正常に保ちましょう。
保湿は「化粧水→美容液→乳液(クリーム)」の順で行います。こうすることで肌内部に水分や美容成分を届けつつ、油分の蓋で蒸発を防ぐことができます。

皮脂コントロールにはインナーケアも大切

特に洗顔料において、高い洗浄力を求める人の多くは「ベタつきが気になる」「ニキビができやすい」「毛穴が詰まっている」といったお悩みを持っていると思います。実はこれらに共通する原因は「皮脂の過剰分泌」にあり、その根本を改善することが何より大切です。
皮脂が過剰に分泌される要因としては、次のようなものがあります。

・肌の乾燥
・紫外線や摩擦などの外部刺激
・ホルモンバランスの乱れ
・脂質や糖質に偏った食生活
・ストレス

スキンケアによる影響も大きいのですが、同じくらい生活習慣の改善も大切ということがわかりますよね。

・皮脂抑制に働くビタミン類を積極的に摂る
・タンパク質など肌再生に必要な栄養素を摂り、水分保持力を高める
・脂質や糖質を控えめにする
17時間以上の睡眠時間を確保する
・適度な運動で代謝を促すとともに、ストレスを発散する

このようなインナーケアを意識することで、皮脂分泌が徐々に抑えられることが期待できます。気になる人はぜひ試してみてください。

まとめ

界面活性剤にはリスクもあるものの、化粧品の品質を担保する大切な一要素でもあります。「この成分入っているからダメ」と決めつけず、肌との相性や生活スタイルなど、さまざまな観点からアイテムを選ぶことが大切です。
界面活性剤配合の製品も上手に活用し、美肌を手に入れましょう!

※記事内でご紹介している各商品は記事執筆時の情報に基づいて掲載をしており、変更となっている可能性がございます。ご購入の際は最新情報をお確かめください。

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監修医師紹介

奥野彰子/医師

奥野 彰子 / Akiko Okuno

医師・恵比寿アズクリニック院長

  • 東京慈恵会医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院にて形成外科に入局。
  • 2008年より美容皮膚科 院長を15年勤める。
  • 2023年5月 恵比寿アズクリニック院長に就任。

監修医師詳細プロフィール

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